チームをまとめ、目標を達成することを課せられたリーダーにとって、チーム内の人間関係で心を痛めている方も多いのではないでしょうか。
「Aさんとは考え方が全然違うので、同じチームだとやりにくくて仕方がありません」
「アイツとはそりが合わないから、別の人と組ませてほしい」
こんな声がメンバーから出てくれば、ついつい解決したくなりますが、その考え方こそが大きな「勘違い」だとしたら?
「悩めるチームリーダーにこそ、『技術』が必要だ」との思いで『ぼくは「技術」で人を動かす』を執筆したオイシックス社長高島宏平氏が、とっておきの「レシピ」を紹介! 連載第1回のテーマは、チームにとっての永遠の課題、「相性」です。

【リーダーのつまずき】
メンバー同士の相性が悪く、
チーム内の分担や配置を決められない

 チームを動かしていくうえで重要なのは、「今いるメンバーをどう配置するか」です。

 部署移動のような大規模なものもあれば、「どのクライアントを任せるか」「新しいプロジェクトは誰と誰を組ませるか」という規模のものもあります。販売担当のパートさんを統括しているチームリーダーであれば、「誰と誰をどの売り場のどの時間帯に配置するか」という采配もチームづくりのうちでしょう。

「そんなの頭が痛い。難しい」と思うかもしれませんが、これは実に楽しい仕事です。野球やサッカー、バレーボールなど、チームスポーツの国際試合でもあろうものなら、全国民がテレビの前で監督になります。

「この試合には○○選手を使ったほうがいい」
「いや、俺なら経験を積ませる意味で△△選手を抜擢する」

 人の適性を考えて配置していくのは、人間の基本的な楽しみではないかと思うほどです。

 ところが、多くのリーダーがチームづくりに悩むのは、メンバーどうしの相性の問題を気にするためでしょう。特にリーダーになりたての頃は、「ウマが合わないメンバーどうしを組ませないほうがいいかもしれない」と心配することもよくあるようです。

 また、メンバーのほうから「Aさんとは考え方が全然違うので、同じチームだとやりにくくて仕方がありません」という文句や不満が出ることもあります。

 それについての私の対処法は、「相性は無視する」というもの。

 人間である以上、気が合う、気が合わないはあると思いますが、相性が気にならないくらい、勝利というゴールに向かって必死になってほしい―そう私は考えています。

 そもそも、相性が気になったり「同僚の態度が気に障ってしようがない」という不満が出たりするのは、仕事に対して一生懸命になれていないときです。

 目標もなく、会社は平和。「なんとか勝たなければ」という緊張感がないとき、人はゴールなど意識しません。暇だから社内の些細なことが気になり「あの人がイヤだ」となります。

 一方、努力すべき目標が定まり、夢中になってがんばっているとき、人はまわりの人との相性などどうでもよくなります。

 たとえばサッカー選手は、絶対に勝つと必死になっているとき、「こいつからパスをもらうの、ちょっといやなんだよね。性格もむかつくし」という不平は持たないでしょう。試合の前後にいろいろあっても、いったんピッチに立ったら関係ありません。勝つために必要なそれぞれの力を出しあうしかないとなれば、相性は関係なくなります。

 リーダーがゴールを明示し、メンバーが夢中になれれば、相性などどうでもいいのです。

 もう1つ言えるのは、相性というのは非常に根深いものに見えて、案外、ちょっとした印象で決まる表面的なものも多いということ。

「あの人は苦手です」と言っていたのに、一緒にプロジェクトに取り組んでみて3ヵ月たったら、退社後に2人で飲みに行くほど仲よくなっていたという話も珍しくありません。

 そういう点からも、初期の配置段階において、相性を気にしすぎる必要はないと考えています。

{チームの相性問題}に効くレシピ1
「相性」は無視する