一方、会議欠席者に急ぎで要点だけ伝える目的であれば、簡潔で素早く作成されたBさんの仕事のほうが良い仕事と言えよう。Aさんの仕事ぶりは上記目的からすると時間をかけすぎで、本来であれば、費やさずにすんだ時間と労力を無駄にしたことになる。

 それでなくても時間がないワーキングマザーにとって、「やり直し」や「無駄」は大敵である。これらをどうやったら極限まで減らすことができるのだろうか?

 WLBの達人は、仕事の要件を明確化する能力に長じている。

 仕事の要件とは「何を(対象)、いつまでに(期限)、どのレベルで(期待水準)」といった成果物を定義する条件のことである。仕事の要件は、同じ仕事であっても、先の議事録の例のように、依頼者のその時々のニーズによって異なる。

 達人は、仕事に着手する前に要件をきっちりとくみ取って、その要件にマッチする仕事を心がけていた。そうすると、仕事の受け手は嬉しいので、達人の仕事への評価も上がる。さらに、要件のミスマッチによる「やり直し」や不必要な作業のために、時間を取られることがなくなるため、一挙両得なのである。

■「要件定義力」チェックリスト(あなたは何項目該当しますか?)
□自分の仕事について、要件(何を、いつまでに、どのレベルで)を明確に理解した上で着手している
□仕事を引き受けるときは、依頼者のニーズを理解するための質問や確認をしている

先読みして先手を打てば
後でどたばたする必要もない

 次は、「先読み力」である。これは、先を見通して段取りを良くしておくことで、仕事や家事をスムーズに無理なく進める力である。

 WLBの達人であるOさんは、双子を含む3人のママであり、外資系コンサルティング会社で部下十数名を束ねる調査事業の日本の責任者をしている。本社からの売上に対する管理は厳しく、予算を達成しないと月末近くになって、次から次へと対応策に追われる。

 そこでOさんは、これまでの売上管理の仕組みやサイクルを見直し、月ごとにしか把握できなかった売上推移を週ベースで把握し、予算未達になりそうな場合は、より早いタイミングで対応できるように変えた。