答えは内にある。数学とコンピューターが
それを解く武器となる(ネタバレ注意!)

 小説『コンタクト』のエンディングが、映画版ではなぜかバッサリ落とされています。たった数頁に過ぎないそのエンディングこそが、このSF小説が示す真の「答え」だというのに。

 もしこの世が知性によって「つくられた」ものだというのであれば、その創造者はきっとそこに生まれるであろう知性に対して、なんらかのメッセージを残したことでしょう。

「これを見つけて解読できたなら、合格だ」「その情報を使ってここまでおいで」

 では、この宇宙のどこにいついても、同じく受け取れるメッセージとはどんなものなのでしょうか。あなたなら、メッセージをどこに隠しますか?

 カール・セーガンの答えは「π」でした。そう「円周率」です。この宇宙のどこで知性が発達しても、もっともシンプルな図形である「円」や「球」を発見するでしょう。そしてその探究の中で必ず出現するのがこの「π」です。

 3.1415926535 8979323846 2643383279 5028841971……

 と、続きます。2014年時点では小数点以下13.3兆桁まで計算されていますが、そこにはなんの規則性もなく、ただランダムに数字が続いていきます。

もし創造者がメッセージを隠すなら、こういったところでしょう。いつでもどこでも誰にでもアクセス可能なお手紙です。地球外知性との邂逅の後、エリーはそれに気づき、「π」の計算とその解読に取りかかります。

 そしてある日……。

 答えは内に、ありました。本当の答えは外から来るのではなく、自分たち自身を見つめることで、得られるものでした。内にこそ真の答えは隠されていたのでした。そしてそれを解くための武器こそは、コンピュータ(による計算能力)と数学(による暗号解読能力)でした。超絶的なコンピューティングパワーと暗号解読能力こそが、真実への扉を開ける鍵だったのです。

 われわれも今、セーガンが夢見たその縁(エッジ)まで、辿りつきかけているのかも、しれません。