うまくいかないのは
自分で知らずに書いた「脚本」のせい
いくつもの思い込みがあなたの人生の脚本をつくりあげている。この脚本にとらわれているから、あなたはなかなか変われないのだ。
例えば、Aさんの場合。
子どもの頃から成績優秀でずっとトップを走ってきた。しかし、いつも本番に弱い。大学受験も第一志望のときに限って風邪を引き、結局第二志望の大学に入った。入社試験のときも最終面接なのに遅刻をして、本当に行きたかった会社には入れなかった。仕事でもいつも「詰めが甘い」と言われている。プレゼンでいいところまで行くのになぜかうまくいかないのだ。
Aさんは、自分のことを運が悪いと思っている。いつもいいところまで行くのになぜかうまくいかない。そんな人生なんだと思っている。
――Aさんはなぜいつもうまくいかないのか? 本当に運が悪いのだろうか? 詰めが甘い性格なのだろうか?
そうではない。Aさんは「いいところでうまくいかない」という人生の脚本を自ら書き上げて、そのとおりに生きているだけなのだ。口では「成功したい」「うまくいかせたい」と言っていても、結局脚本に従ってしまう。
Bさんは子どものころからまじめで大人しいタイプ。大学を卒業した後は、大企業に就職し、結婚を機に退職した。旦那さんも堅実な会社に勤め、子どもも生まれ、絵に描いたような幸せな生活を送っていた。
ところがある日、Bさんの浮気が発覚した。旦那さんとは揉めに揉めて離婚。親権を巡って旦那さんには裁判まで起こされ、結局子どももとられてしまう。幸せだった家庭が一変して、家庭崩壊である。
まわりはみな、「あんなまじめで大人しいBさんがなぜ……」と驚きを隠せない。
――Bさんはなぜ、自ら幸せを壊すような行動をとったのだろうか? 家庭に不満があったからだろうか? より理想の男性が現れたからだろうか?
そうではない。これもやはり「脚本」がなせるわざだ。人生の脚本が、彼女を浮気に駆り立て、家庭を崩壊に導いたのだ。
「そんな脚本など書いた覚えはない!」
「自分で脚本を書けるのであれば、誰しもがお金持ちになって成功するという脚本を書けばいいじゃないか!」
そう思われたかもしれない。
しかし脚本はあなたが知らないうちに書き上げてしまっているものだ。そして、その脚本からは逃れられない。さえない、不幸に満ちた脚本を書いてしまった人は、残念ながらその脚本通り人生を歩むしかないのだ。
少々脅すような言い方をしてしまったが、そんなすべての人を縛り付けるという「人生脚本」。それは、一体何なのだろうか?
次回、「人生脚本」の正体に迫る。