いま、世界で最も読まれている思考法「0ベース思考」とは、いったいどんな考え方か――?
レヴィットとダブナーによる書籍『0ベース思考』は、全米で超異例の初版50万部で刊行され、シリーズ750万部を超えるなど、欧米を中心に爆発的な話題となり、いまや日本でもベストセラーリストを賑わせている。
本連載では、かつて『ヤバい経済学』で一世を風靡した著者コンビによる、世界中の読者の目からウロコを落としまくっている同書の冒頭部分を全3回で紹介する。第2回の今回は「0ベース思考」を身につける方法についてだ。
人は「みんなの利益」より「自分の利益」を優先する
「自分の利益とみんなの利益が相反するとき、どうする?」と聞かれて、「自分の利益が大切だよ」と白状する人はまずいない。でも生まれつきか育ちかはわからないが、たいていの人がみんなの利益より自分の利益を優先することは、歴史がはっきり証明している。そのこと自体は別に悪いことじゃない。それが人間ってものだ。
でも貧困撲滅とか行政改善とか公害を減らすとか子どものケンカをやめさせるとかみたいに、いざ自分だけの小さな成功を超えた、大きな望みをかなえようとすると、とたんに人間の利己的なインセンティブに悩まされることになる。みんなが好き勝手バラバラに動いているとき、同じ方向に向かせるにはどうすればいいんだろう?
ぼくたちはこういった問題に答えるために、この本を書いた。
最近の風潮として、問題を解決する方法には「正しい」方法と「まちがった」方法があるという思い込みをもつ人が増えている。こういう考え方でいると、言い争いがどうしても増えるし、残念なことに、解決できるはずの問題も解決できなくなってしまう。
これを何とかできないだろうか? きっとできるはずだ。
正しい方法とまちがった方法、かしこい方法とおろかな方法、赤信号の方法と青信号の方法があるなんて思い込みを、ぼくたちはこの本を書くことで葬りたい。
現代社会ではもう少し建設的に、創造的に、合理的に考えることが必要だ。ちがう角度から、ちがう筋肉を使って、ちがう前提から考える。やみくもな楽観も、ひねくれた不信ももたずにすなおな心で考える。つまり、コホン、フリークみたいに考えるってことだ。