なぜ肝心なときに失敗してしまうのか、なぜ幸せを自ら崩壊させてしまうのか……。あなたには、そんなところはないでしょうか? 実はこれらはすべて思い込みからなる「人生脚本」のせいだと語るのは、『人生の99%は思い込み』の著者である心理学者の鈴木敏昭。
20年間思い込みを研究してきた著者が語る、自身の思い込みの正体を突き止め、脱却する方法とは――

思い込みがぎっしり詰まった
「人生脚本」の恐ろしさ

思い込みの脚本から脱却し、<br />人生を思うままに生きるヒント 第二回

 人生は、「人生脚本」に支配されている。
 耳慣れない人生脚本とは、精神科医のエリック・バーンが提唱した「心理的プログラム」のことで、無意識に深層心理の中で人生の脚本を書いているということを意味した言葉である。

 人間は、さまざまな体験を通じて感じたことを元に、心の中で「自分はきっと、こんな人生を送るだろう」という、人生の脚本を書いている。

それも無意識に、気づかぬうちに、だ。

 そして、その脚本に沿った人生を送っていく。

 人は、自分についてある思いや信念を抱くと、無意識にそれに合うような行動を取ってしまうもの。結果として、その信念は現実化する。このことを心理学では「予言の自己成就」という。
 たとえば占いで「一週間以内に事故を起こす」と言われると、そうなるように無意識に振る舞い、実際に事故を起こして占いを「確証」することになる。
 また、「血液型がA型の人はこういう性格だ」と言われると、そのように振る舞い、A型の性格を「確証」する。これらが「予言の自己成就」の現象である。

人生脚本は、いわば「あなたの人生の予言書」なのだ。知らず知らずのうちにあなたはこの予言書に従って動いている。

 つまり、「自分は運が悪い」と思う人はそういう脚本を、「自分は運がいい」と思っている人はそういう脚本を自ら書いているということになる。運が悪い人も、運が良い人も、結局すべては自分でつくりあげたストーリーなのだ。