脚本は幼少期からの
思い込みが原因

 人生脚本は、主に7歳くらいまでの幼少期につくられる。

「将来は立派な大人になりなさい」といった親のしつけや、「◯◯君は落ち着きがないわね」といった周囲からの評価、学校での教育などによってつくりあげられるものだ。

「◯◯キャラ」という言葉を耳にしたことがあるだろう。
 子どもは学校の友だちや仲間から「いじられキャラ」「お笑いキャラ」などといった役割を与えられると、一生懸命それに応えようとしてしまう。
 自らの発言や行動を、与えられたキャラに合うように変えていくのだ。いじめられっ子も、たいてい小さいころからいじめられているケースが多い。無意識のうちにまわりの環境に合うようにキャラを演じるのだ。キャラを演じたほうがラクだからである。

 脚本はこの「キャラ」のようなものだ。キャラを与えられた子どもは、そのキャラに合うように人生を歩んでいく。

 幼少期につくられた人生脚本からは、簡単に逃れることはできない。人生脚本に合わない生き方をしていれば、無意識のうちにもとの人生脚本に合う生き方へと変えてしまうからだ。

 それほどに、人生脚本は強力だ。

 たとえば、「何をやっても最後にうまくいかない」と思っている人は、幼少期に何かをうまくやっても褒めてもらえず、「自分は最終的にうまくいってはいけない」という人生脚本を書いてしまった可能性がある。

 また、家庭が円満だったのに浮気をしてしまった人は、幼少期に家庭環境に恵まれず、「自分は暖かい家庭は得られないし、家族に愛されるわけがない」という人生脚本を持ってしまっている可能性がある。
 そのため、せっかく幸せな家庭を手に入れても、心が満たされない。だから自ら幸福を壊すような行動をとり、元の脚本に戻してしまうのだ。そうした人が、真の平安を手に入れるには、人生脚本の存在に気付き、書き換えるしかない。

 どんな人生脚本でも、それが自分の人生にプラスになるものであればいい。だが、もしも自分の人生を不幸にする脚本ならば、時間がかかっても書き換えたほうがいい。

 さて、では人生脚本は書き換えることはできるだろうか? もちろん強固なものであるため、なかなか難しいことは事実だ。

 しかし、「これは『人生脚本』が仕組んだものだ」と認識するだけでも大いに効果はある。数々の失敗や不幸(もしくは幸福)のパターンが「運」ではなく「脚本」なのだと知るだけで、人生を操る余裕が出てくる。

 人生脚本という存在を知れば、これまでは「どうせ自分は出世できない」「どうせ私はモテない」など、運命だと思ってあきらめていた人生が、実は自分が無意識のうちにつくり上げたドラマなのだとわかるだろう。

 次回は、人生脚本がどのように出来上がるのか、もう少し詳しく見ていこう。