怒られキャラ(いじられキャラ)は得

 第一生命保険が実施する毎年恒例のサラリーマン川柳コンクールがありますが、2008年の入選作の中に、「休む理由(わけ) 偽装と知りつつ お大事に」という句を見つけ、急に私が新入社員だった頃を思い出しました。

 私と同じ課には、私以外に2人の同期が配属されました。この2人は、明らかに嘘とわかる理由をつけて気軽に有給休暇やフレックスを利用していたのですが、私も試しに同じことをやろうとしたら「おい、内田。休みたかったら、いくらでも休んでいいぞ。でもな次に会社に来たときには、お前の席はなくなってるからな」と一蹴されました。

 普段の仕事中もほかの2人の同期と比べ、ガンガン怒られた記憶があります。なんであいつらには優しいのに、オレにだけ厳しいんだよと思っていました。

 仕事が終わってからの扱いも明らかに違いました。

 2人の同期は何事もなく帰れるのに、私だけは寮に帰ろうとすると、首根っこをつかまれ、毎晩のように飲み屋に連れて行かれたのです。散々、飲まされた挙げ句(と言っても、自分から飲んでいた節もありますが)、深夜の12時を過ぎてから、ようやく解放されるような毎日だったのですが、上司との別れ際に必ず言われました。

「おい内田、飲んだ次の日だけは二日酔いだろうが何だろうが絶対に遅刻するなよ」

 終電の中でいちゃいちゃするカップルを尻目に、当時の私は「なんでオレだけ毎日、こんな目に遭わなきゃいけないんだ」と思っていました。

 あの頃は、「なんでオレだけ」と被害者意識が強かったのですが、ある程度、分別がつくようになった今、冷静にあの頃を振り返ってみると、感謝の気持ちばかりが生まれてきます。目にかけてもらっていたことがよくわかるからです。

問題社員の末路

「こんな話をしたら、自分に管理能力がないことを暴露しているようなもので、恥ずかしいのですが……」

 こんな前置きから始まった、見るからに大人しい雰囲気で部下にモノを言えない典型のような管理職の方が話してくれた本音のつぶやきです。

「以前、私の部下で、私の気が弱いのをいいことに、ちょっと注意しただけでふて腐れたり、食ってかかってきたりする社員がいました。そんなことが続いたので、この社員に対しては、次第に愛情を感じなくなってしまいました。怒るどころか、仕事の指示も出したくなくなりました。そのうちに、視界に入ってきただけで、気分が悪くなるようになってきたのです。