岸見 「自分が楽しい」のと「お客さんにウケる」のではどっちが重要ですか?

片桐 うーん、お客さんにウケることで楽しかったりもするので、はっきり分けられるものじゃないんですが……。相方が書いてくれた台本に、自分なりにちょっと足したりして楽しんでいる様子を、お客さんにも楽しんでもらえたらパーフェクトだなと思います。

古賀 それはすごくいいですね。

片桐 お笑いや演劇の舞台に立つと、自分がどういう役割だったらウケるのかとか、人からどう見えているのかが総合的にわかるんですよね。自分の言動に、リアルタイムで反応が返ってくる。これはけっこう特殊な状況だと思います。

岸見 普通、人がどう思ってるのか、ダイレクトに反応が返ってくることはないですからね。

片桐 そうなんです。一方、テレビというのは、自分がどう見えているのか、演技しているときはよくわからないんですよ。監督が「オッケー」って言ったからオッケーなのかな、くらい。で、オンエアを見ると「こんな芝居してたのか……」と愕然とすることもあります(笑)。でも、それでいいかなと最近は思うようになったんですよ。

古賀 なぜですか?

片桐 撮影の瞬間にどれだけ集中して、楽しんでやれるかが大事だからです。この、「いま、ここ」を楽しもうと思えるようになったのは、『嫌われる勇気』がきっかけだと思います。

(次回へ続く)