美術大学を卒業し、独特のシュールな世界観のコントで人気を集めるコントユニット「ラーメンズ」としてデビューした片桐仁さん。いまではテレビや舞台の俳優、粘土作家など、多方面で活躍しています。そんな片桐さんは、『嫌われる勇気』を愛読されているということで、著者の岸見一郎氏と古賀史健氏との鼎談が実現しました。まずは、片桐さんが『嫌われる勇気』のどんな箇所に感銘を受けたのかをうかがっていきます。(構成:崎谷実穂、写真:田口沙織)
折り目がたくさんついた
マイ『嫌われる勇気』を持参
岸見一郎(以下、岸見) 片桐さんと古賀さんはお知り合いなんですって?
古賀史健(以下、古賀) はい。片桐さんとは「73年会」という1973年に生まれた人たちが集まる飲み会で知り合いまして、そのときに『嫌われる勇気』をお渡ししたんです。
1973年生まれ、埼玉県出身。コメディアン、俳優。多摩美術大学在学中の1996年に小林賢太郎とお笑いコンビ「ラーメンズ」を結成。独特の世界観で人気を博し、以後舞台を中心にテレビ、ラジオなどさまざまな分野で活躍中。1999年より粘土を用いた造形作家としても活動しており、作品集『粘土道 完全版』(講談社)、『ジンディー・ジョーンズ─感涙の秘宝』(講談社)などを出版。2013年4月には渋谷パルコで個展を開催し1万3000人を動員した。ガンプラ・マニアとしても有名で著書に『ラーメンズ・片桐仁のガンプラ戦士ジンダム』(光文社)がある。最新著書は『おしり2─ラーメンズ片桐仁のおしえて何故ならしりたがりだから』(東京ニュース通信社)。
片桐仁(以下、片桐) そうなんです。本の最初のほうに「わたしにとってのアドラー心理学とは、ギリシア哲学と同一線上にある思想であり、哲学です」という言葉がありますよね。哲学書なんてベストセラーになった『ソフィーの世界』(1991年)以来なので、ちょっと構えたんですけど(笑)、“哲人”と“青年”の対話という形式だったせいか、すごく読みやすかったです。あの二人は、岸見先生と古賀さんなんですか?
古賀 ある意味、そうとも言えます。もともとは岸見先生の本をつくるために、先生のお宅に通ってまさにこの本にあるような問答を繰り返していたんですよ。そして取材を進めるなかで一人称の本にするんじゃなく、ぼくらのくり広げている問答をそのまま本にしたほうが読みやすいだろうなと判断したんです。