決勝を俯瞰して感じたこと
韓国の勝利の原点は徹底した『出口戦略』
ここからは、筆者の私見として、なぜ日本の各チームがチームKAISTに大差をつけられて負けたのかを検証する。グランドスタンド最前列のメディア専用スペース、グランドスタンドの各所、チームが整備とロボット操作を行うガレージ、同時開催のエキジビション、さらに決勝後の「ワークショップ」等から多角的に決勝を見てみた。
まず、コースに設定された8つのタスクを見てみよう。
前述のように、ロボティクスチャレンジはFUKUSHIMAから“インスパイア”(DARPA側の表現)されている。よって、ロボットは現代社会において人間が利用する道具を使うことを大前提としている。
8つのタクスは以下の通り。
1)クルマの運転
車両は、米POLARIS社製の小型四輪駆動車
『RANGER XP900 EPS』(排気量875㏄)
乗車する際は、チームスタッフがロボットを好きな位置に着座させる
2)クルマから降りる
3)ドアを開けて室内に入る
4)円形のバルブを360度回転して閉める
5)電動ドリルにより壁に指定サイズ以上の円形の穴を開ける
6)“サプライズ”。臨機応変さを試すため、決勝2日間でそれぞれ違うタスク
初日は、レバースイッチを垂直に上から下におろす。
二日目は、向かって左側のプラグを抜いて、右側に差し替える
7)瓦礫の通過、またはコンクリートブロックの不整地の通過(その場で選択可能)
8)4段の階段を登る
制限時間は1時間。コースの途中で、ロボットが制御不可能となった場合、チームスタッフがコース内に入り復旧することが可能。その場合、復旧作業1回あたり10分間、ペナルティとして競技に参加できない。クルマの運転の途中で制御不能の場合、スタート地点に戻る。またドア開け以降に制御不能の場合、ドアの外の黄色枠から再スタートとなるが、獲得ポイントは維持され、残りのタスクのみをこなせば良い。