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DOL特別レポート
2015年6月12日
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伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

メーカーの“囲い込み思想”で
日本のIoTが取り残される
――日の丸IoTの成否(4)

カスタマイズが横行する業務システム
このままではIndustry4.0でも出遅れかねない

 企業、自治体、国などに勤務する従業員や職員が使用する業務システム。経理、生産管理、在庫管理、出張手続き、公文書作成など、それぞれの組織ごとに用途に応じて導入されるものだ。

 この業務システムの世界にも問題が多い。

 情報システムは、多くの人が同じ仕組みを使うことで効率化が進み、全体として生産性向上に寄与する。例えば、文書作成やプレゼンテーション作成の際にはワードやパワーポイントを使用するが、どこの組織でもワードやパワーポイントを使用しているからこそ、会社を超えて文書を共有する、契約書のたたき台をやり取りしながら内容を固めていくといったことができるようになっている。

 しかし、業務システムの場合は組織ごとにカスタマイズされた「個別仕様」であることから、会社を超えてのやり取りが極めて難しくなっている。商品の取引を行う受発注データをやり取りするだけでも、各社ごとに業務システムが異なっているために、未だに手入力やFAXでやり取りするケースも珍しくないのだ。

 こうした個別仕様のカスタマイズが横行している背景には、既存の業務プロセスを変えたくないというユーザー側の問題もあるが、個別仕様のカスタマイズに対応することで稼ごうとするITベンダー側の姿勢の問題も大きい。

 個別仕様にすることで汎用品よりも単価を上げられる上に、一度、個別仕様の業務システムを導入してもらえば、簡単にシステムを切り替えることができなくなり、顧客をロックインすることができるからだ。

 ドイツでは「第4の産業革命」という意味のIndustry4.0という構想を進めようとしている。産業機器がネットワークを介してお互いに連携することにより、工場や企業を超えて生産を大幅に効率化することを狙う、非常に斬新な試みだ。

 ところが、日本では企業間の受発注データのやり取りでさえも個別仕様になっている。本件については経済産業省時代に筆者が執筆した「ビジネスインフラ研究会最終報告書」を参照してほしいが、個別仕様を続ける限り、Industry4.0でも日本が出遅れかねないことは明らかだ。

SPECIAL TOPICS

伊藤慎介 [株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長]

いとう・しんすけ/株式会社rimOnO(リモノ)代表取締役社長。1973年生まれ。京都大学大学院工学研究科卒業後、1999年に通商産業省(現、経済産業省)に入省。経済産業省では、自動車用蓄電池の技術開発プロジェクト、スマートハウスプロジェクト、スマートコミュニティプロジェクトなどの国家プロジェクトを立ち上げた後、2011~2013年には航空機武器宇宙産業課において航空機産業政策に従事。2014年7月に経済産業省を退官し、超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnOをznug design根津孝太と共に設立。


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