編集F:そして…プレゼン対象を好きになる方法は、もう1つあるんですか?
西脇:「好きになる」というのとはちょっと違うかもしれませんが、たしかにあると思います。
それは、その「いまいち好きになれない対象」について、もっともっと知り尽くしてみることです。
たとえば、ある商品のプレゼンをすることになったのであれば、その商品を誰よりも徹底的に使ってみる。持ち運べるものなら、いつでもポケットに入れてみる。洋服であれば着てみる。食べ物なら毎日食べてみる。サービスやプロジェクトのプレゼンであれば、その周辺の情報をこれでもかというくらい調べて勉強してみる。
もちろん、それでも好きにはなれないかもしれません。
でも、そうやって知り尽くしてみると、「これについては社内の誰よりも自分がいちばん詳しいんだ」という自負、というか自信が生まれているはずです。それは必ずプレゼンにはプラスに作用するんですよ。
編集F:対象について「知り尽くす」ことが、プレゼン上達の最短ルートでもあると…。
西脇:編集者さんの仕事にも同じことが言えるかもしれませんね。本をつくるという行為も、言ってみれば、読者のみなさんに「プレゼン」しているわけですから。
編集F:たしかに、それは非常に納得感があります。一冊の本をつくり終わると、そのトピックや著者に対する「愛情」が倍増する感覚があります。それってきっと、対象についての「知識」が増えたからなんですよ。だからこそ、その本をもっと人に広めたいという気持ちになる。
西脇:わたしがやっているプレゼン研修も、同じようなモチベーションでやっているんですよ。地方でモニターに向かっていたプログラマーが、プレゼン技術を磨いたことで数年後にマイクロソフトの執行役員になっている ― これってきっとすごいことなんだと思います。
プレゼンには人生を変える力がある。この面白さをみなさんにも体験してほしいですね。
編集F:いやはや、とても勉強になりました。今日はドローンもたくさん見れて、なんだか得した気分です。ありがとうございました!