『森のイスキア』主宰・佐藤初女氏のところへは、女優・大竹しのぶさんや、総理大臣夫人・安倍昭恵さんなど数多くの有名人が「おむすび」を学びにくる。
その初女さんが93歳の集大成書籍『限りなく透明に凜として生きる―「日本のマザー・テレサ」が明かす幸せの光―』を出版した。
本書の中では“透明”をテーマに、キリスト教の晴佐久昌英神父、哲学者の芳村思風氏、現役産婦人科医の池川明氏との対談を収録している。
このたび、4月17日に1200名を集めて開催された出版記念講演会で実現した注目の佐藤初女氏と三者との対話をご紹介する。(構成・池田純子)

初女さんと会うと、
ホッとするのはなぜ?

司会 まずは、この中でいちばんおつきあいの長い、晴佐久昌英神父様から口火を切っていただけますか?

神父 わたしは時々、講演をしますけれど、1200人満席の前でお話しすることは、そう多くありません。

 緊張するだろうなと思いながら参りましたが、始まる前に初女さんにお会いしたら、なんだかホッとしちゃって。初女さんの半径何メートル以内にいると何も心配がなくなるんですよ。むしろ、そのままの自分を受け入れてもらえる、自分はそのままでいいんだという勇気というか力をもらって、自然体になれる。これは力だなと思うし、いま素晴らしい先生方と初女さんを囲んでひとときをすごすこの時間がもったいないような、ずっと味わっていたいような、すごくうれしいことです。

『限りなく透明に凜として生きる』の中でも対談しましたが、対談といっても何をすればいいいかわからないし、今日も何をお話すればいいかわからなくて具体的なプランもなく参りましたけれど、初女さんがここにいるだけでうまくいく、何もいらない、そういう思いになるんです。

初女 神父様と会うとね、同じ家族の中のひとりのような感じがするんですよ。4年ぐらい前に、神父様が森のイスキアにおいでになったとき、うちの隣に小さい空き地があるんですが、それをご覧になった神父様が「隣のイスキアをつくろうかな」とおっしゃったものだから喜んでしまって。
 そういう言葉をいただいたというので、やっぱり親近感があるというか、緊張しないでお話しできるんですね。
 神父様といえば、緊張して悪いことは言えないとか、そういうことがありますけれど、そうではなく、安心して何でも話ができるというので、まずはホッとしております。

神父 たぶん、イエス様って、そういう方だったんだろうと思うんですよ。一緒にいるだけで安心できる、ホッとできる、そういう方だったから、2000年経っても、こうしてみんなから愛されてやまないですしね。

 そういう透明なキリストがいろいろな形で宿っているというのが本物のキリスト者ということだろうし、信者じゃなくても、そういう透明な心を持っている、そういうところにいまの時代を生きるわたしたちに大切な秘密がいっぱい隠されているだろうと思うんです。
 緊張して、頑なに責め合っているような世の中で、こういうつながりというのを知っておいて、少しずつ広げていきたいとつくづく感じます。