「日米の安保条約が軍事協力をアップグレードすることは、アジア太平洋地域における主導的地位を獲得することにつながる。それは地域の多極化という趨勢に背くものである」(王少普・上海交通大学日本研究センター主任)

 また、本来中国人専門家の見方を紹介することが主旨である同記事は、日本の鳩山由紀夫元首相が過去に新華社の取材を受けた際の次のコメントで結ばれている。

「日本が集団的自衛権を行使することは、戦争への道を切り開くことを意味する」

 中国共産党は、内政・外交を問わず、依然として“外国対中反対勢力”には徹底批判を、“外国対中友好分子”には取り込みを図るという二分法を戦略としている。

平和憲法を根幹とする日本を
戦争ができる国家に改造するもの

 中国メディアが取り込み策として引用する、外国メディアの報道を見てみよう。

 新華社と並んで中国2大通信社の1つである中国新聞社は17日、同日の日本毎日新聞と東京新聞の社説を紹介しているほか、最近実施された共同通信、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞の安保関連法案に関する世論調査の結果を紹介している。

 目立つのは、最近経済関係のつながりや歴史問題での“連携”が顕著になってきた韓国メディア報道の引用である(筆者注:2013年の中韓貿易額は2742億ドルで、同年の日中貿易額3119億ドルに接近している。中韓貿易は2015年には3000億ドルにも達すると見込まれている)。

 新華社が7月17日に配信した記事“海外世論は日本の衆議院が安保法案を強行的に通過させたことは地域の安全を脅かすものだと認識している”は、以下の報道を引用している。

「日本の一部政治家は平和憲法を根幹とする日本を戦争ができる国家に改造しようとしており、安保関連法案の強行的通過はそのような野心を暴露したものだ」(韓国アジア経済)

「違憲の可能性が指摘されているなか、日本政府が衆議院にて安保関連法案を強行的に通過させたことは、北東アジア秩序の大混乱を招くかもしれない」(韓国経済新聞)

 同記事はそれ以外に、タイ、カンボジア、ロシア、米国、英国、フランスのメディア報道あるいは専門家の見方を紹介しつつ、今回の法案通過が地域の安全保障にとっての不確定要素あるいは脅威になるというトーンで、まとめられている。