「伝え方」はセンスじゃなくて技術。だから誰でも学べる

和田 私、いろいろと営業指導をしていて最近思うことがあるのです。「一番営業指導が必要なのは、もしかしたらお役所なんじゃないか」って。 地方自治体を見ていると、物を作るだけ作っておいて売りにいこうとしないし、彼らが口を揃えて言うのは「うちはPRが苦手な“地域性”なんです」って。それで終わらせるんですよ(笑)。

佐々木圭一(ささき・けいいち)
上智大学大学院を卒業後、博報堂を経て、株式会社ウゴカスを設立。新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。ストレスから1年で体重が15%増、アゴも無くなる。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。初めての著書『伝え方が9割』は、68万部のベストセラーとなり(シリーズ累計79万部突破)、2013年ビジネス書年間ランキング1位(紀伊國屋書店新宿本店調べ)、年間ベストセラー単行本2位(2013年ビジネス書部門/日販・トーハン調べ)となる。カンヌ国際広祭でゴールド賞を含む、3年連続受賞。米国の広告賞One ShowDesignで日本人初ゴールド賞受賞。AdFestでゴールド賞受賞。AIMアワードでグランプリ受賞。トリンプ「天使のブラ」、コーセー「FASIO」などヒットCMを数々制作。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。トヨタ自動車、楽天、大塚商会、東武鉄道、ユー・エス・ジェイ、小林製薬、プルデンシャル生命、ソニー生命保険、東京大学、上智大学などで150回以上の「伝え方が9割・講演」を行う。メディア出演は、NHK「ゆうどき」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、テレビ朝日「お願い!ランキング」、フジテレビ「ネプリーグ」、TBS「ひるおび!」、テレビ東京「FOOT×BRAIN」、BS朝日「ポップメイカー」にてMC、「an・an」連載など多数。「日本のコミュニケーション能力のベースアップ」のために、精力的に活動している。

佐々木 ははは、わかるなあ。

和田 地方再生のために、他の自治体を真似してゆるキャラを作ってみるなど、努力はしているのだけど、肝心の営業活動ができないんです。物を売ることを知らないし、もちろんコピーも知らない。「それでもお給料もらえるからいいよね」、みたいなことを周囲に言われているのを端から見ると、もどかしくなりますよね。

佐々木 僕はまさにその部分を『伝え方が9割』で、サポートしたいと強く思っています。この本のタイトルを見た人は、「物が1割で伝え方が9割」みたいに読み違えることがあるのですが、そうではなくてやっぱり物のクオリティが一番大切です。ただ、日本人はこと質に関しては、相当高いレベルに達しています。ただそれを、和田さんがおっしゃる通り、伝えないまま終わらせてしまっている。いくら「困った、困った」と言ったところで、伝える手段がないし、仕方がないと諦めているんです。いや、仕方なくなんかないぞ、と。

和田 そうそう!

佐々木 伝え方はセンスと思われがちですけど、センスじゃなくて技術です。だから誰でも学ぶことができるし、心から活用して欲しいと思っているからこそ、僕がもつノウハウを“全出し”したのですよね。

和田 そこ、私とおんなじだ。全出し感(笑)

佐々木 すべてをさらけだすことで、「今後コピーの仕事がこなくなるかも」と不安に思ったこともあったけれど……

和田 え、逆にオファーが増えませんでしたか?  部数が部数ですから。

佐々木 はい、ありがたいことに(笑)。