人間心理を理解すれば見えてくる
事例研究がなぜ役立つのか?

 こうして共有した事例の中で、目的に適う事例や、目的達成に関連のある事例に対して、「これは、この業務の目的達成に適う、良い事例ですね」と、一言ハイライトするだけでよい。わずか一言で、その事例が期待されている行動であることを、心の奥底から認識してもらうことができる。

 何度、目標を確認する唱和をするよりも、何度、ビジョンセッションをするよりも、自身で取り組んだ事例が目的に適うかどうか、ポジティブにフィードバックする方が、よほど効果が高いのだ。

 私は、その理由は、ポジティブアクションと、ポジティブフィードバックにあると考える。ポジティブなアクションこそ、モチベーションを高める。ポジティブなフィードバックこそ、心の奥底に響きやすい。事例研究により、他の誰でもない自身の事例を洗い出すというポジティブアクションを行い、そして、ポジティブなフィードバックをもたらすことで、心の奥底に響かせる。簡単であるが、極めて有効な方法である。

 ビジネスの世界では、実にさまざまな会議や研修が実施されている。そして、役に立たない会議や研修が多いという不満の声は絶えない。過去20年、そうした声が減少しているかといえば、そうは思えない。

 60分の会議や研修に、15分の事例研究を取り入れるだけで、会議や研修の効果を高めることができるとしたら、実施してみたいとお思いにならないだろうか。たった15分の事例研究が、日本のビジネスを飛躍的に前進させると、私は信じて疑わない。


※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。