外資系企業では「太ると上司ににらまれる」
というホラーストーリーが圧倒的に効いた

――「メタボ健診の受診者やメタボ指導の参加者を増やすのに西脇さんのプレゼンメソッドが役立った」とのことですが、高崎さんは具体的にどんなことをされたのですか?

高崎:たとえば、ある外資系企業で「メタボ指導の参加者」を増やすという案件がありました。このときにはプレゼンのシナリオを見直したんですよね。西脇さんの『プレゼンは「目線」で決まる』にも出てくる「ホラーストーリー」を使ったんです。
要するに、「メタボ健診やメタボ指導を受けないと、こんなヤバいことになるよ」と危機感を醸成するシナリオを取り入れました。

参加率14.4倍の「ホラーストーリー」とは?<br />人を動かすプレゼンシナリオの技術

西脇:どんな伝え方をしたんですか?

高崎:ざっくり言ってしまうと「健康診断で赤信号になる前に」というコピーを入れた案内文書を作成し、所属する部の部長から渡してもらいました。また、マネジメントクラスには「社長も参加する各部署対抗戦」のような競争意識を持ってもらうように工夫しました。

「健康づくりしないと、上司ににらまれる」――お化けより怖いホラーストーリーではないでしょうか?(笑)
この作戦で、前年は5%だった参加率が、72.3%、つまり14.4倍に増えたんです。

―まさに「人を動かすシナリオ」だったわけですね。やはりこういうときは、ホラーストーリーが効くんでしょうか?

西脇:そうですね。ただし、気をつけないといけないのは、ホラーストーリーって、じつはイソップ童話『北風と太陽』で言うところの「北風」なんですよ。だから、絶えず相手の心に傷が残る可能性を考慮する必要もある。

最近、より重要だなと実感するのは、いかに「この人のプレゼンなら聞きたい」と思ってもらうか、ということですね。
その意味ではけっこう残酷な話かもしれませんが、「見た目」という要素も大きいんです。だから私もダイエットしましたし、肌をきれいにするために普段から女性用の化粧水・乳液を使ったりしています。