デザインでなら、
小さな会社でも大企業と勝負できる!

 天毛氏が最初から最後まで徹底的にこだわったのは、デザインだった。

「『製造』では、自分たちのような小資本の会社は大企業に絶対に太刀打ちできない。しかし、デザインに限って言えば、会社の規模は無関係である。アリが象と互角に戦うことも可能だ」と天毛氏は考えた。

 まずは、見た目で人をアッと言わせたい。「これがレジなのか?」と思うくらいインパクトのある、斬新なデザインのレジを目指す。それが技術陣に課した最重要命題だった。

製品の開発は天毛氏が陣頭指揮を執った

 中身ができる前に実寸サイズのイメージを作っていく。その躯体のプロトタイプ制作には自らも関わり、指揮を取った。専門業者に頼むコストを削るため、ボール紙と発泡スチロールで作った。それならほとんどタダに近い。

「小学校の図画工作とほとんど同じですよ」と、当時を思い出して笑う。

 出来上がった躯体のプロトタイプは、従来のレジのデザインからは程遠かった。それを目にした者は、皆、「こんなのがほんとに動くのか?」と口を揃えた。が、天毛氏は「動かして見せる」と言い切った。そして、試作1号機の完成が2012年9月、それから2号機、3号機と改良を加えていったという。

 前述の通り、ブレインレジスターの基本コンセプトは、従来のレジが持っていた「デカイ・ダサい・高い」を全て引っくり返すことだった。

 スタイリッシュという点で、天毛氏が最もこだわったのは、レシートの吐き出し口だった。従来のレジスターは用紙が縦にプリントアウトされてくるのが常識だ。だが、それを機械の脇から、つまり、ロールペーパーを横に寝かせた状態でプリントし、排出できるように指示した。そんなプリンターは世界中探してもない。

 躯体の高さを極限まで低くしたいというのが理由だった。ロールを立てた状態で機械に装填するとそれだけで高さが80ミリも必要になる。それを横に寝かせれば紙の幅だけあればいいので、一挙に全高を低くすることができた。