IoT(“Internet of Things”:「モノのインターネット」)という言葉がメディアをよく賑わすようになった。IoTのなかでも今一番ホットなのはウェアラブルだろう。

 実は、ウェアラブルですでに空前の大ヒットとなったデバイスがある。スマートフォンだ。スマートフォンはどこに行くにもポケットや手のひらにあり、体の一部となった。ユーザーのコミュニケーション情報、位置情報、アプリケーションでの行動などが個々人のコンテクスト情報となり、さらに生活を豊かにするサービスを提供する好循環を生んだ。生活の一部となったスマートフォンからさらに身体上の場所を広げよう、というのがこれからのウェアラブルだ。

 ウェアラブルには2つの流れがある。1つは、個々人の情報を運動や健康状態などの身体情報にまで広げ、特定機能での価値を提供しようするもの(垂直型)。もう1つは、スマートフォンを拡張して新たな利便性を上げるもの(水平型)。

最初にブレークしたウェアラブルは
「活量計」の分野

 ウェアラブルが最初にブレークしたのは前者の垂直型のひとつである「活量計」だった。その代表選手は、2007年にサンフランシスコで創業されたFitbit(フィットビット社)だ。

 時計のように手首に装着したベルトの中にセンサーや通信機が埋め込まれており、腕や足の動きで運動量を測定。そのデータはスマートフォン経由でクラウドに送られ、ユーザーの運動量を蓄積する。あとはスマートフォンのアプリで分析結果を分かりやすくダッシュボードに表示してくれる。自分の体重や食事の情報を入れれば、フィットネス状態が一目瞭然となる。

 さらに、クラウドサービス側で、個人の目標を設定して運動を動機づけるキャンペーンや他のユーザーとゲーム感覚で競うイベントなどが催され、クラウドならではのサービスが特徴となっている。

 また、このフィットビットのアプリへのAPI(アプリをつなぐインターフェース情報)は公開されているので、フィットビットを使った様々なアプリが第三者から提供されている。今では、JawboneやMisfitなど90社ほどの企業がひしめくレッドオーシャン分野だが、フィットビットは世界の活量計市場の50%以上を占めると言われており、今年の上場が噂されている。

 一方、日本には昔から「歩数計」があり、いろいろなメーカーが性能を競っていたのに、最近のウェアラブル分野で日本メーカーは見る影もない。