実際、筆者が取材をすると、むしろ吸収を「する側」にしろ、「される側」にしろ、それぞれの会社の中で、特に役員や執行役員、本部長クラスの人事で行われる駆け引きや潰し合いのほうが、はるかに重要に思える。ここにも、M&Aの人事に関わるホンネが隠されている。

 結局、報道や世の中の捉え方は、M&Aの場合、それぞれの会社の事業戦略や、業界の構造的な問題のほうに重きをおいたアプローチをしている。本来は、人事のほうにも目を向けないと、合併をめぐる真相を炙り出すことは難しい。日本企業は、伝統的に事業戦略と人事戦略が一致していない弱点がある。ここが、本来は問題視されないといけない。

2.女性だからこそ優遇される
  という側面もある

 今回登場した岩上をどのように見据えるかべきか――。筆者は、したたかな女性だと思う。決して「男に翻弄される哀れな女性」ではない。男を手玉にとり、怖いくらいに世渡りが上手なのではないだろうか。創業社長、吸収した側のベンチャー企業から来た社長などに上手く取り入り、実績がなくともナンバー2になった。しかも、数億円といわれるお金を手にしている。挙げ句に、今なお専務であり、隙あらば巻き返しを図ろうとしている。

 ここまで要領がいいからこそ、同世代の、特に女性社員たち(退職者も含む)からは総スカンとなり、孤立するのだろう。実績や中身が伴わない「成功」には、影や暗さ、脆さが伴うものだ。

大企業なら部長にもなれない
女性役員を巡るホンネとタテマエ

 メディアではもてはやされているが、実際のところは、こういう状況である。もちろん、「ナンバー2」には違いないし、「数百人の会社を支える管理部門のトップ」であることも事実である。だが、もてはやされるほどの実績もなければ、人望も力量もない。ここにも、女性をめぐるタテマエとホンネがある。

 退職した女性社員が、突き放す。「岩上さんは、あの会社の創業期に入り、しかも、女だからあそこまでたどりつくことができた。大企業に勤務する男ならば、部長にもなれかっただろうね」

 筆者もまた、同じ思いだ。