『本番でアタマが真っ白にならないための 人前であがらない37の話し方』の著者である佐藤達郎氏が、7月11日、日本テレビの人気番組「世界一受けたい授業」に出演、社会科講師として広告の最新トレンドについて講義を行った。
著者は本職が大学教授で、100人や200人を前に話すのは日常のこと。それにしても、今回は人気のテレビ番組だ。名だたる芸能人を前に、また何百万人が見ている、そのような場面でプレッシャーは感じないのだろうか? オンエアされたものを見ても、さして緊張しているようには見えず、ふだん通りの応対だった。その秘訣は何なのだろう? 多くの皆さんが持つであろう疑問を、わたくし編集Tが、ご本人に直接うかがってみた。
100%緊張する場面で緊張しない方法とは?
編集T 番組出演、拝見しました! ぜんぜん緊張していないように見えたんですが、実際、いかがだったんでしょうか?
佐藤 僕にしても慣れないことなので、それなりに気は張っていて、かなりくたびれたのですが、いわゆるアガル状態にはならなかったですね。
編集T ご著書でもアガらない方法をいろいろと書かれているのですが、その応用ってことでしょうか?
佐藤 はい。著書にも書いていますが、想定外の出来事をつねに想定して、プレゼンを対話だと考えて、命まで取られるわけじゃないと開き直れば、たとえテレビ番組出演でもアタフタはしないことが証明できて、良かったです。
編集T なるほど。でも、見ている人は、何百万人ですよ。
佐藤 あの番組は人気番組なので、600万人もの人が見ている計算になるようです。でも、人数はあまり関係ないんですよ。ま、100人超えたら、1万人も10万人も、似たようなものです。
編集T 僕としては、「つまりは有田さんはまんまとひっかかったわけですね」という受け答えとか、「押しつける時と引き寄せる時のジェスチャー」とか、芸人でもないのによくできるなぁ、と感心したわけですが。
佐藤 有田さんとのやり取りは、台本にあったもので、ある意味僕は演じただけです。ジェスチャーもディレクターから頼まれたことで、直前に一度リハーサルもやったので、スムーズに出来ました。
録画なので、極端な話やり直しも効きますし。生番組だともっと緊張感があると思うのですが、ま、僕は芸人じゃないからジェスチャーもそれほど上手い必要はない、と、著書に書いた通り「素の自分での勝負」を心がけました。
編集T それと、短い言葉で効果的に伝えるのがお上手だな、と感じたのですが、その辺のコツって何かありますか?
佐藤 うーん。これは、僕がもともとコピーライター出身だということと関係が深いと思います。伝えたいことに「キャッチフレーズをつける」または「名前をつける」ような感覚ですね。「今自分が伝えたいことに名前をつけるとすると何て呼べばいいんだろう?」と考えるわけです。
たとえば、従来の広告はどんどん押し付けてくる感じだけど、今の新しい広告は向こうに引き込もうとしているな、と感じたら、その現象に「名前を付けるとすると?」と考え、「プッシュ型とプル型」という言い方を思いつきます。
編集T 最後に、今回のテレビ出演を通じて、佐藤さんが感じたことは、どんなことでしょうか?
佐藤 僕は芸人でも何でもありませんから、有田さんや上田さんみたいな当意即妙な受け答えはできません。あの世界で活躍している人は、やはりそれなりの才能や技があるわけです。しかし、逆に言うと、何もそこまでの受け答えは必要とされてもいない。
ビジネスで頑張る人にとっては、たとえテレビ番組に出演するような“特別な”出来事であっても、今までの経験の延長でなんとかなるものだなぁ、と改めて感じました。
僕がビジネスで経験したことを書き記したものが『人前であがらない37の話し方』なわけですが、あそこでまとめたことの通りに行動してまったく問題ありませんでしたから。
編集T 貴重なお話を、ありがとうございました!