「ミッションの再定義」とは何かと言えば、国立大学の改革を進めていく中で、研究水準や教育成果、産学連携などの客観的データに基づいて、各大学の強みや特色、社会的役割を分野ごとに整理、つまり、将来的にどのような学部・研究科をつくっていくのかについて、文部科学省が国立大学と意思疎通を図りながらとりまとめたものです。もちろん、個別大学の組織のあり方も、それぞれの大学で再定義したミッションを踏まえて改革していくことになります。

「ミッション再定義」に関して、人文社会科学についてはどのように記述してあるのでしょうか。2014年6月に文部科学省が公表した文書において、「人文・社会科学、学際・特定分野は、人間の営みや様々な社会事象の省察、人間の精神生活の基盤の構築や質の向上、社会の価値観に対する省察や社会事象の正確な分析など重要な役割を担っている」と記載しております。そして具体的な改革の方向については、「全学的な機能強化の観点から、定員規模・組織の在り方の見直しを積極的に推進し、強み・特色を基にした教育・研究の質的充実、競争力強化を図る」としています。

 一般の読者の方でも、ここだけをお読みになれば、文部科学省は人文・社会科学系の学部の役割意義について、日本学術会議が言うところの「軽視」どころか、「重要な役割」と明記し、それどころか今後も充実強化を謳っていることがおわかりになると思います。

文部科学省全体にとって
人文学・社会科学の振興は重要課題

 さらに、文部科学省全体で見れば、それ以外にも、科学技術・学術審議会学術分科会では、様々な報告の中で人文学・社会科学の振興の重要性を数次に亘り説いており、こうした提言に基づき、科学研究費補助金や、「博士課程教育リーディングプログラム」や「課題設定による先導的人文・社会科学研究推進事業」などの支援により、その重要性に鑑み、国立大学における人文・社会系分野の教育研究の質的充実、競争力の強化を推進してきました。

 研究について、科学研究費補助金について言えば、科研費の配分を2010年度と14年度で比較すると、人文社会科学系の採択数は17.4%、配分額は10.7%増加しています。補助金全体の人文・社会科学系分野のシェアとしても、平成16年(国立大学の法人化時)と比して採択件数、配分額ともにそれぞれ1.4%増で、ここでも人文・社会科学系分野を軽視しているというエビデンスは全くありません。

 さらに、文部科学副大臣を拝命していた平成21年~23年の間に、「系・分野・分科・細目表」の改正を実施し、学術動向を踏まえるとともに、人文・社会科学系の応募者も応募しやすく、かつ、学術の多様性を確保し、可能な限り研究の裾野を広げるような区分となるように改正を実施してきました。