杜撰な倉庫管理体制

 とはいえ気になるのは、いまだ事故状況の情報が少なく、爆発の原因も依然不明なままであること。損保ジャパン日本興亜リスクマネジメントの鈴木拓人リスクエンジニアリング事業部グループリーダーは、「顧客企業から、現地の水質や大気の状況について問い合わせが殺到している」と明かす。

 それもそのはず。事故が発生した化学薬品保管倉庫で取り扱いがあったと現地報道が確認している化学物質を眺めると、今もシアン化水素など人体に有毒なガスが発生・飛散している状況と思われる。

 そもそも、日本の消防法では危険物第一類(硝酸アンモニウムや硝酸カリウムなど)と危険物第四類(ギ酸やメチルエチルケトンなど)に分類される物質が、現場近くで多数確認されている。第一類と第四類が混ざると“爆弾”が容易にできるため、これらが同じ敷地内で管理されていたこと自体、「杜撰な管理監督体制としか言いようがない」(鈴木氏)。

 再爆発の潜在リスクが依然として残り、化学物質の流出や飛散も懸念される中、爆発現場から半径3キロメートル圏内で実施されていた立ち入り制限についても、本稿執筆の8月26日時点で解除されたとの情報は入っていない。

 にもかかわらず、トヨタが半径2キロメートルに位置する泰達工場で早くも稼働再開を決めた背景には、このところ好調だった中国での販売に支障が出る焦りもあったのだろうか──。企業の安全問題を所管する国家安全生産管理総局の局長が摘発されたとの現地報道もあり、中国政府は原因究明より“犯人探し”に躍起な節もある。事故そのものが収束したと安堵するのは拙速だろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)