季節外れの急な人事は
ウラを読み解け!

山本 あと、私が気にしているのは、特に官公庁などでの季節外れの急な人事異動です。先日もある省庁の人事異動を聞いて「えっ!」と思って調べてみると、とんでもない問題に関わっていた担当部署の責任者だったんです。たとえば、公的支給に関する通知書が大量に受け取られていなかったりとか……。

 そして、そのほかのいろいろな情報を合わせて、そのウラを読むと、ものすごい真実が隠されていたりする。たとえば、すでに他界しているはずの人たちが、まだ生きているということで年金などの公的支給を受け取っていることになるとか(笑)。もちろん推測ですけどね。

藤野 官公庁でも企業にしても、人事異動ひとつでわかることってありますね。一般の投資家も企業のちょっとした変化にも敏感になっておくこと。そして、どこか疑わしいと思ったら、決算の推移のみならず、人事面などの大きな動きにも気を配ってみると、何らかの異変に気がつくかもしれません。

山本 まとめとして、不正に気づく最も簡単な方法は、自分自身に置き換えて類推してみることでしょうか。「もしも自分がその立場にいたら、いったいどうするだろうか?」と想像してみるんです。

 たとえば、自分がその辞めた人の年齢で、その業界で転職すると決意するならば、かなりの覚悟が必要かもしれないとか、自分ごととして考える。その覚悟が、事件の大きさを推し量る材料になるのではないか、と思います。
 それと定点観測もいいですね。私は日々やっていますが、おもしろいですよ、いろんなことがわかって。

藤野 異動や辞職、解雇、採用といった人事で会社の異変がわりとわかるという視点は僕も同意ですね。山本さんにはこれからも、いろんなことに切り込んでいただきたいです。今日は本当にありがとうございました。