(1)人民元建て国債海外初発行
 中国が人民元建て国債をロンドンで発行する準備を進めていることが明らかになりました。中国が進める人民元の国際化の一環で、海外での国債発行は初となります。習近平国家主席が今週、英国を公式訪問する際に計画を発表する可能性があります。中国の海外での国債発行をめぐっては欧米の有力国が名乗りを上げていましたが、中国は世界的な投資家が集うロンドンを選んだと考えられます。しかし、本当は、欧州勢で一番に、しかも米国を裏切るような形でAIIBに参加したことに対するものともいわれています。

(2)クロスボーダー人民元決済システムの稼働
 8日にリリースされた「クロスボーダー人民元決済システムCIPS (Cross-border Interbank Payment System)」には日本の銀行の直接参加が許されませんでした。中国系が12行と外資系が8行の様で、邦銀はありません。

政治よりも経済 中国にすり寄る日本

 このような動きは、AIIBにあった「政治」的な動きよりは、「経済」を優先した動きとも言えます。麻生財務相は中国に、中国国外で人民元決済銀行を日本国内に設置するよう要請しました。これによって伸びている人民元建ての貿易や金融取引の取り込みが可能になります。

 日中間の貿易や投資、金融取引を促進するとともに、国際金融センターとして東京の地位向上を図るのが狙いです。中国が国別に指定する人民元適格外国機関投資家(RQFII)枠の開設も要請しました。

 実は今年になって、政府の中でも、東京における人民元ビジネスへの参加が検討されていました。日本経済の改革が進まないため、やはり伸びゆく経済との関係強化が、経済成長のためには必要なのです。しかも、安倍晋三首相は経済成長に関して、日本の現在のGDP(国内総生産)500兆円を将来的に600兆円に伸ばすという、経済成長ドライブを掛けざる得ない状況ですから、「政治(外交)よりも経済を」重視するのはやむを得ない状況との判断でしょう。

日米の人民元のSDR賛成で弱まるTPPの中国牽制機能

 国際金融政策は相手のあることだけに、経済学的な分析だけでは進まず、政治(外交)的な性質を持っています。