お客様のリクエストを参考に
和田 実際に、2年目に何か改良できたのですか?
美崎 はい、「ストローペンホルダー」というペンさしですね。ペンさしって背表紙に一つついてるものじゃないですか。それを表紙の前後に一つずつつけることで、ペンを通したときに手帳をロックできるんです。
和田 本当だ、ナイスアイデア! 表表紙と、裏表紙の両方に、ペンを差しこむホルダーがあるんですね。
美崎 『ほぼ日手帳』がこのパターンを使っていたので権利関係確認して、2年目に実現しました。
和田 全ページ方眼なのもいいですね。方眼って右脳にいいって聞いたことがあります。クリエイターの人がよく使っているせいか、雰囲気がお洒落ですよね。私はシンプルな横線です、これが好きという人もいるのでそれぞれですね。
美崎 時間の目盛りで比較すると、僕は6時から24時です。これだけあると十分だと思っていたけど、ファンの方から4時から欲しいと言われたことがありました。さすがに1日を4時からスタートされる人は稀だから不採用にしましたけど。
和田 仕事内容もライフスタイルも人それぞれですから、「いる・いらない」の好みが分かれますよね。美崎さんの手帳はとてもシンプルですね。
美崎 資料的なページはすべてなくそうということで作ったんです。
和田 『営業手帳』は鉄道路線図などの付録ページも充実させています。日本中のすべての駅をページ数さいて載せる必要があるのか?と最初は懐疑的だったんですが、出してみたら「この地図がいい」という人が続出してびっくりしたんです。
美崎 細かいところをあげはじめたらきりがないんだけど、和田さんは月の満ち欠けを入れていないのですね。
和田 はい、あまり自分がそれを気にしないもので。大切なのは「満月」と「新月」だと私は思っていて、それだけ文字で入れています。とくに新月は「ゼロからどんどん膨らむ」という意味を持っているので、この日に決断したり何かをスタートするにはいい日だと言われています。それにしても、満ち欠けがないというのは?
美崎 女性がプロデュースしてる手帳なのに、珍しいなと。
和田 営業手帳なので、使う人の性別はあまり意識していません。
美崎 そうですか。女性は月齢の周期で生理や出産など見るからマストかと思っていました。
和田 ダイエットに使う人もいますよね。
美崎 僕はもともと花王で化粧品をつくっていたから、生理周期で肌のサイクルが変わるとか、バストとヒップラインが変わるとかね……つい気になっちゃうんですよ(笑)。
和田 それをいうなら、「大安」「仏滅」などの六曜のほうがリクエストが多いですね。マンスリーだけでなくウィークのページにも入れてくれと言われて、今は両方入れています。
美崎 そうでしょうね。編集者さんによっては「大安」の日しか出版しないという方もいますし、みなさん結構意識されているようです。
和田 営業の方が商品の納品日を話し合うときに、「この日は大安ですね」と言うなど、やはり「いい日」というのを意識してビジネスされる方がいらっしゃいます。とくに目上の方にはこのような言い方をしたほうが好まれることもありますよね。
美崎 そうそう。
和田 ただ、文字情報を入れすぎるとそれがノイズになる方もいらっしゃるようです。美崎さんはどうされていますか?
美崎 僕の場合、祝日表記は薄い赤を枠内全面に敷いて、文字を白抜きにしています。
和田 なるほど。薄く見える。これなら気にせず上から書くこともできる絶妙なバランスです。真似したいです!