そして作曲家ジョンの作品は映画音楽に限られるものではありません。

 小澤征爾の示唆でチェロ奏者ヨーヨー・マのために書き下ろしたのが「チェロ協奏曲」(写真)です。1994年7月6日、米東海岸のタングルウッド音楽祭で初演されました。

 映画音楽制作の合間を縫って書き下ろされた名品です。チェロ協奏曲と言えば、ドボルザーク、エルガー、ハイドンの作品が著名ですが、このジョン作品もいつか歴史の風雪を耐えて名作に列せられるでしょう。

 ジョンらしい明朗な主題を提示してから、チェロ独特の中音域において深みと伸びのある音色を生かしたヨーヨー・マの独奏が展開します。静から動へ、急激かつ連続的な変化から穏やかな佇まいへと自在に描かれる音楽。聴く者の想像を掻き立てます。

 2002年のソルトレイクシティの冬季オリンピックの主題曲もジョンの作品でした。作曲家として八面六臂の活躍です。が、彼にはもう1つの顔があります。

楽団にも所属
指揮者としての作品も

 一流のオーケストラの楽団員は、それぞれの楽器の一流の演奏家の集まりです。団結すれば恐ろしいチカラを発揮しますが、個性的な音楽家の集団故に束ねることは容易ではありません。指揮者は、サーカスの猛獣使いの如く、自らの音楽的信念の下に楽団員を配下に治め、最高の演奏を生み出すプロフェッショナルです。

 ジョンは指揮者としても数々の音盤を生み出しています。2012年には、80歳の誕生記念盤「セレブレーション」(写真)を発表。手兵ボストン・ポップス・オーケストラを従えて、ジョン作品に加え、“風と共に去りぬ”や“コーラス・ライン”といった映画やミュージカルの名曲も振っています。

 音楽とは「音を楽しむこと」だとジョンの音盤たちが語りかけてきます。

(音楽愛好家・小栗勘太郎)