今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は外食です。外食産業は30兆円市場と言われ、極めて身近な存在です。

 今回は50ページにわたって、ファストフード、ファミレス、焼肉、回転ずし、牛丼など、さまざまなカテゴリーごとに起こっている変化を徹底取材し、豊富な図解・データを活用しながらわかりやすくまとめました。

 これを一冊読めば、外食産業の大枠がつかめることでしょう。 上場企業の収益性などの財務比較はもちろん、「吉野家 VS 日本マクドナルド」「餃子の王将 VS 平松」といった小誌のオリジナル比較もぜひお楽しみください。

 サラリーマンにとって、何かしら利用している立食いそばやラーメンの謎。これも必読です。東京で「富士そば」「小諸そば」「ゆで太郎」といった立ち食いそば屋を見たことのある人は多いでしょうが、実は立地がバッティングしていないのを知っていましたか。

 ラーメンについては、500円以下の低価格ラーメン店から、「どさん子」などのチェーン店、行列のできる人気専門店まで幅広く取材しています。「ラーメン二郎」の行列にも並び、「小、カラメ、マシマシ」と独特の呪文のような注文にも挑戦、完食してきました(笑)。

 外食業界は、デフレや市場の成熟といった数々の問題を抱えており、まさに日本の産業界の縮図のようになっています。外食企業がそれにどのように対応してきたのかも、一読の価値があります。

 一般に、食は食文化や嗜好性の違いが大きく、海外展開が難しいと言われますが、タイで絶好調の「大戸屋」、日本より中国で有名な「味千ラーメン」などの例は、日本の内需産業にとって学ぶところが多いはずです。

 つい最近も、某スポーツ選手が設立したお店が倒産しましたが、外食は参入が容易なだけに、淘汰されるのも早い業界です。食中毒やO157事件をきっかけに廃業を余儀なくされた焼肉店は数多くありますが、この困難から辛くも逃げ切った焼肉の「安安」の話などは、危機管理の視点から読んでも面白いことでしょう。

 外食産業に携わっている人はもちろん、そうでない人にも楽しめる内容になっています。『週刊ダイヤモンド』をお手にとってくださると幸いです。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 大坪稚子)