2030年、
世界最大の人口減となるロシア
ロシアは、2030年までに人口が10%減るだろう。この期間としては世界最大の減少だ。ロシアの場合、出生率が低いだけでなく、喫煙、麻薬、アルコールの過剰摂取、それにエイズや結核が広がり、50代の男性の死者が多いことが問題だ。
それでもインターナショナル・フューチャーズに基づけば、ロシアは引き続き大国の地位を維持する可能性が高い。人口が急減するといっても、総数はドイツの1.5倍程度あるし、ヨーロッパの基準で見れば大国だ。
ロシアが急激な衰退を回避して、大国の地位を維持するには、その潜在力を発揮する必要があるが、最近のニュースは心強いものではない。ロシア経済は21世紀初めに年7%の成長を見せたものの、共産主義体制の崩壊から真に立ち直ったことはなく、資源輸出頼みの構造がネックになっている。
2008年の世界大不況はロシアに深刻な打撃を与えた。原油価格が急落したため、準備金を取り崩さなければ社会保障制度を維持できなくなった。最終的な生産量にもよるが、シェール革命はロシア経済に追い打ちを与えるだろう。
ヨーロッパ諸国がロシア産ガスからアメリカのシェールガスに切り換えれば、ロシア最大の企業ガスプロムは値下げを強いられ、ロシア経済は一段と大きな打撃を受けるだろう。
リベラルなガイダル経済政策研究所の見方では、ロシア政府はすでに深刻な財政危機に瀕している。年金などの社会保障支出が増えて、経済成長が頭打ちになれば、危機はさらに悪化するだろう。
政府の専門家は、ロシア経済は2030年まで年平均2.5%の成長を維持すると見るが、これは世界経済の成長予測(3.4~3.5%)を下回る。もっと高い成長を実現しなければ、未来の財政赤字は28兆ドルに達するとの見方もある。
ロシア指導部は科学技術に投資したいようだ。しかし腐敗の蔓延や自由のなさといった問題から、ソ連時代のような世界的な科学技術分野を再建するのは難しいだろう。とはいえ、ロシアは広大な国土を世界の戦略的な位置に維持し、軍事力もまだかなり大きい。エネルギー以外の分野で多様な経済開発を進めれば、再び超大国の地位に返り咲く可能性はある。
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