「3K職場」が「奇跡の職場」に
生まれ変わった秘密とはなにか?

 出張に新幹線を使う機会の多い読者なら、数年前から東京駅での車内清掃のやり方ががらりと変わっていることにお気づきかもしれない。

『グレートカンパニー』
リッチ・カールガード著/野津智子訳
ダイヤモンド社
305p 2000円(税別)

 清掃員たちがまるでアミューズメントパークのスタッフのような服装で、ホームの乗降口付近に一人ずつ立ち、駅に到着する新幹線車両をお辞儀をしながら「お迎え」するようになったのだ。清掃業務にもハツラツと取り組み、手際も良く動きに無駄がない。

 そして業務を終えると全員がホームに横一列に並び、乗車待ちの客に一礼してさっそうと去っていく。その見事な仕事ぶりは、思わず拍手を送りたくなるほどだ。

 彼らの仕事は、約7分というわずかな時間で、到着した新幹線の車内をすみずみまで清掃し、始発の車両として新たな乗客を迎えられる状態にすることだ。気を抜くことのできないキツい仕事で、以前はいわゆる3K職場とも言われ、離職率も高かったそうだ。そんな清掃員たちが、自信と誇りをもって質の高い仕事をこなすチームに変わった秘密はどこにあるのだろう?

 こんな事例を紹介したのは、その答えが本書『グレートカンパニー』の主題である「ソフトエッジ」にあるのではないかと考えられるからだ。

 ではその見慣れない「ソフトエッジ」とは一体何か。