ここで簡単な計算をしてみよう。

 12月1日から10日の日経平均の下落率4.8%に対して、2倍(すなわち約10%)値上がりするはずの「日経Dインバ」の市場価格は、3.1%の上昇にとどまった。理由は簡単で、市場価格と基準価格の乖離が縮小したからだ。

 この期間に基準価格は10.2%上昇したが、乖離率が6.9%縮小したため、この差の約3%が市場価格の値上がり率となったわけだ。乖離率が大きいほど高値づかみになるため、たとえ株価の予想が的中しても思ったほど儲からなかったり、逆に損したりすることもあるので注意が必要だ。

 なお、基準価格でETFを新規設定できる指定参加者や大口投資家だけが儲けたと考えるのは誤解だ。なぜならこの期間は設定が一時停止されていたので、割安な基準価格でETFを手に入れることができなかったのだから。

“15分間に巨額の先物売買”による
価格形成の歪みも設定一時停止の理由

 ところで、運用会社が「日経レバ」などの新規設定を一時停止した理由は「先物市場の流動性を踏まえて、運用資産規模(純資産額)を適正な範囲に維持するため」とされる。端的に言えば、人気が殺到して株価指数先物の売買量が多くなり、先物市場に及ぼす影響を無視できなくなったということだ。

 実際にどのような売買をするのか「日経レバ」ETFの例で説明しよう(図3参照)。

◆図3:「日経レバ」ETFの先物売買イメージ

  運用会社は日々の取引終了時点で、純資産額の2倍相当の日経平均先物を買い持ちする。たとえば純資産が100億円なら200億円相当の先物を買い持ちして、翌営業日の値動きが日経平均の2倍となるようにしている。翌日に日経平均が10%値上がりすると先物も10%値上がりして20億円の利益が出る。この利益の分だけ純資産が増えて120億円になる。このとき先物は220億円分を保有しているが、翌日も「2倍の騰落率」を維持するためには純資産の2倍、すなわち240億円相当にしておく必要がある。そのために20億円分の先物を買い増す。

 反対に日経平均が10%値下がりすると先物から20億円の損失が発生し、純資産も20億円減って80億円になる。先物は180億円相当になっているので、純資産の2倍の160億円にするため20億円分を売却しなければならない。