同一の監査法人との契約は最長3年間まで
客と業者の上下関係、馴れ合い関係をなくさないとね
A.コンプライアンス意識の乏しいごく一部の企業が不正会計を行う。あるいは、監査法人がそれを故意にではなく単純に見逃してしまう。こういったことは今後も起こりえるでしょう。
しかし、会計監査制度全体としては、一応は機能しているとは思います。
だからといって、ある企業を一つの監査法人が何年も担当をし続けると、適正な緊張感が失われ、そこに馴れ合いが生まれ、結果として不正を見落としてしまいがちになる思います。
なので、例えば同一の監査法人による監査は、連続3年間までとし、それを経過した場合は別の監査法人に変えなければいけないといった見直しは必要かと思います。
また、それ以前の問題として、社会全体がコンプライアンス重視になっており、その影響で監査法人の数が逆にほとんど増えていないという問題もあると思います。
監査法人のなかには、得られるリターンに対して、今回のケースのようにリスクが大きすぎると考えているところも多いのではないでしょうか。企業側の不正を監査法人が漏れなく見破るのは現実的に相当難しい。にもかかわらず、監査法人に対してまで厳しく対処し過ぎると、監査法人も萎縮してしまう気がします。
経験上の一般論で言えば、監査法人に監査されるかどうかで、企業の経理責任者・担当者の緊張度合いは格段に上がります。また、数字は会社の本質を表すもの。嘘をつき続けることも、監査法人を騙し続けることも、そうそうはできないと思います。
クールジャパンの海外展開とか理由をつけて
経済産業省が出しゃばってくる話じゃない
A.そもそもですが、「クール・ジャパン」と自分たち自身で持て囃してしまうのは、どうかと思います。
また、この仕事は経済産業省が音頭を取ってやることではないという気がします。権利処理の問題が輸出拡大のハードルになっているのであれば、関係企業や業界が自主的にそうしたデータベースを作れば良い話です。さらに、そこで手数料を取るビジネスも、十分に成立すると思います。
最近は、政府がやる仕事のなかには、全体的に民業圧迫的なものが多いと感じます。政府は民間が絶対にできないことだけをやればいいと思う。
この問題でも、これまでは個別ごとに権利処理を行って、それなりに輸出は増えてきている。ですから、役所がでしゃばる情報のデータベース化が輸出拡大の絶対兵器になるとも思えません。
したがって、さらに世界展開をしたいのであれば、失敗を恐れずに民間がどんどんチャレンジしていけば良いのだと思います。実際のところ、何が当たるかなんて、やってみないとわからないものなのですから。