Q.ヤフーが宿泊予約サイトを運営する一休を1000億円規模で買収し、子会社化すると発表しました。この買収はヤフーにとってどのような相乗効果を生むとお考えになりますか。ヤフーにとって高い買い物でしょうか、旨みのある買い物でしょうか。

世界からの観光客をを取り込めるなら
1000億円は高い買い物ではない

A.買収総額は現在の一休の時価総額のおよそプラスの30%程度の買収ですが、このプラス30%をスムーズに買収するためのプレミアムと考えれば高い買い物と言い切ることはできないでしょう。

 また、ヤフーの圧倒的なリーチを考えれば、一休の知名度も上がりますし、ユーザも増えると考えられます。

 また、ヤフージャパンの事業は基本的に日本国内に限定されていますから、買収によってネットを使った各種事業を手に入れて、事業の規模・領域を拡大するのは、効率面から言っても理にかなっています。

 そして、今後は高級ホテルやレストランのネット予約事業は、外国人観光客、いわゆるインバウンドの増加によって、事業規模は拡大することは間違いありません。

 インバウンド需要の増加は、現在のところは中国など日本から近いアジア地域の経済発展と、LCCの路線拡大によるものが中心です。そのため今後はアジア以外の世界各国からの観光客向けに、まだまだ伸びていく可能性は高いです。そういう意味でお得感があったのでしょう。

Q.ホンダが定年年齢を60歳から65歳へ延長することを決めました。定年延長の動きは大企業間に広がりをみせていますが、60代のシニアの力を引き出すために、堀江さんならどのような施策を打ち出しますか。

60代現役社員に力を発揮できる報酬制度が
会社を伸ばすために不可欠な時代だと思う

A.そもそも人間の老化の程度・度合い、進行の速さは人それぞれです。みなが一律に60歳を境に衰え始めるわけではもちろんありません。

 さらに、近年は医療技術や予防医学の進化などの結果、健康で長生きして、かつてに比べ年を重ねても、心身ともに健康で現役を維持し続けられる人が格段に多くなりました。

 こうした社会環境の変化を考えれば、企業の定年の延長が進むのは、良い流れといえるでしょう。

 とは言うものの、20代、30代といった若いときと比べれば、動作が遅くなったり、疲れやすくなるいったマイナス面が表れてくることは避けられません。このとき大事なことは、仕事のパフォーマンスに応じた広く理解の得られる給与制度を考案して、適用していくことだと思います。

 本来であれば、年齢一律の定年などといったものはそもそも必要なく、好きなだけ働けるようにすべきでしょう。それに対応して、報酬や給与の体系や金額の算定方法を柔軟に変えられる制度をつくることが必要なのです。

 一方、シニア世代にとっては、自分よりも若い人が自分の上司になるわけですから、さまざまなストレスもあるでしょう。プライドが傷つけられることも、逆にプライドが高いままでスムーズに業務が動かなくなることもあるでしょう。

 こうしたことに対応するため、シニア世代の人たちに対するメンタル面のケアも必要でしょう。