コンサルタントの人事評価で困ったこと
今からもう20年近く前のこと、会社として「コンピテンシー評価」を導入することになりました。
グローバルで一斉に取り入れるというその人事評価制度は、戦略コンサルタントの能力を30数種のコンピテンシーに分け、各々で1~7のレベル分けがされていました。新人レベルが1、業界トップクラスが7という具合です。
学卒の新入社員から経営幹部クラスまでを、ひとつの具体化・明文化された枠組みの中で評価しようという、意欲的な試みでした。
でも、その難しさがすぐわかりました。すべてを評価しきれないのです。能力的にも、原理的にも。
あるスタッフが1つのプロジェクトに関わったとき、その30数種のコンピテンシーすべてが求められるわけではありません。なので原理的にすべてを評価することは不可能です。でも30数種に細分化しておかなければ、評価は極めて曖昧なものになってしまうので、仕方ありません。
また、そのスタッフが関わった10種のコンピテンシーを評価するにしても、その精度は評価者の能力次第でもあります。評価者はすべての能力において、そのスタッフを上回っているわけではないでしょう。そのスタッフがその評価に納得するかどうかは、ひとえに評価者の能力によってきます。それを保障することは極めて難しいことでした。
個別のプロジェクト評価でもそうですが、もっと困ったのが年次での昇格評価でした。アナリストからコンサルタントにするのか? コンサルタントからマネジャーにするのか?
30数種のコンピテンシーのうちいくつが何以上なら、そうしていいのでしょうか? いや、そもそもそんなことで決めちゃっていいのでしょうか?
昇格は任せられ度のマトリクスで決める
幹部みんなで額を付き合わせて議論していたら、ある者がこう言いました。
「結局、そいつにどれだけ任せられるか、で決めてんじゃないの?」