1つは、小説のように「ストーリーがあるコンテンツ」です。
エッセイとかマンガ、絵本もこのジャンルに入るでしょう。
いうまでもなく、小説はプロット(筋)が重要な意味を持つ読み物ですから、飛ばしながら読むわけにはいきません。
また、映画を早送りで観たい人が少ないのと同じように、コミックや絵本を急いで読みたいという人はそれほどいないでしょう。
ですからこの種の本を読む際、僕たちのような遅読派には相応の時間が必要になります。
書評家として読む本の
9割は「速く読める」もの
もう1つの「速く読む必要がない本」は、こういっては元も子もないですが、自分がゆっくり読みたいと思う本です。
僕の場合は、どちらかといえば翻訳書に多いのですが、構成がしっかりとしているためつまみ食いが困難で、ページを1枚1枚めくるのが楽しみになってくるような、重厚感のあるタイプ。
そんな本ばかりを読んでいたら仕事になりませんけれど、100冊に1冊くらいはそういうものに出会います。
逆に、全体を貫く「線」の要素が少なく、どこから読んでも相応の価値を見出せる「切れ目」が多いことは、「速く読める本」の特徴でもあります。