これを読んで私はアメリカ人の物の見方は面白いと思った。アベノミクスの成長戦略では医療業界の革新が日本成長の原動力になるとは書かれているが、住宅業界が成長のカギだとは書かれていない。しかしこの着眼点はおもしろい。住宅産業は産業のすそ野が広くてGDPを押し上げる原動力としては一番効いてくるアイテムだからだ。

 わかりやすくいえば団塊の世代がすべて後期高齢者になって、彼らが一斉にバリアフリー住宅にリフォームしたとすれば、その需要だけでもGDPは目に見える規模で押し上がるはずだ。

 しかしそこにはものすごく難しい壁がある。

業者から“食い物”にされる高齢者たち

 以前、高齢者ビジネスについてのコンサルティングを行っていた際に、その業界で誠意をもって事業を行っているある役員の人がこんなホンネを語ってくれたことがある。

「この業界の一番難しいところは、社員がもっと儲けたいと思う欲をどう押さえ込めるかにあるんですよ」

 真剣に高齢者を相手にしたビジネスの拡大に取り組んでいる経営者がホンネで悩んでいるのがどういうことかというと、それは介護事業でも福祉関連の製品販売でもなんでもいいのだが、会社経営が苦しいときにふと魔がさすらしい。「その気になれば弱者からたくさんのお金をむしりとることができる」と。

 だから営業目標のようなものを普通の会社と同じに設定してしまうと、組織の末端で何が行われるか、わかったものではなくなるのだ。