>>(上)より続く

効率化のための安易な外注から
内製を再検討する時が来た

(3)は内製化への取り組みである。

 内製か購入か?という短期の意思決定問題は、一部のサービス業務または一部の部品製造を社内で行なうのか、あるいは一部他社に外注して購入するのかを判断するものである。近年では、このような一部業務の外部委託をアウトソーシングと呼び、経営効率化の手段の一つとして注目されている。また、内外作計画は欧米においては、古くから“make-or-buy”として論じられてきたもので、特に米国では内外作の基本方針が企業の経営戦略の最上位にランクされ、最高機密として扱われる傾向があった。

 震災を機にあらためて、安易に外部に依存するのではなく、調達戦略の基本に戻り、内製を経営トップ主導で再検討する時が来たと考えている。調査では、地域共同体、コンビナート内での内製化について企業関係者から、全く考慮外との回答が多くあったが、オール日本で意識を変えることはできないだろうか。そこで以下の質問を考えてみた。

大震災後、日本企業のサプライチェーンは強靭化したか(下)

物流の途絶にどう対応するか
「共同化」でも一歩進むべき

(4)は物流体制の充実である。道路遮断や鉄道寸断では物が運べないのは当然だが、東日本大震災当時は、阪神淡路大震災を経験していたにもかかわらず、復旧に至るまで紆余曲折であった。

 多くの企業人からは、自社便、代替物流手段、海外物流ルートなど検討外と言われたが、欧米では「サプライチェーン」イコール「物流」と捉える人も多く、日本と彼我の差が大きく感じられた。それは、取引慣習(持込み渡し[DDP]と工場渡し[Ex-Work])に依存すると考えられる。

 今後、BCPを調達方針に含める場合、マインドセットの転換が必要だ。物流業界では現下、共同配送と物流の共同化が業務の効率化や環境対応、コスト削減の面から大きなテーマとして浮上しているが、一歩進んで、地域共同体・コンビナート地帯での水平的、また垂直的物流共同化を目指すべきと考える。従って、次の質問を用意した。

大震災後、日本企業のサプライチェーンは強靭化したか(下)