商談中にガマンできなくなったら終わりだな。50代の商社マンDさんはため息をついた。この数年、すっきりしない残尿感と頻尿に悩まされている。最近は突然の尿意に席を立つことが増えてきた。
加齢とともに誰でも経験するのが頻尿・尿失禁。男性はためられない、キレがない──つまり蓄尿症状と排尿症状の二つが重なるケースが多い。
排尿症状の代表的な原因は前立腺。膀胱から続く尿道のつけ根を取り巻く男性特有の臓器で、加齢とともに肥大する。貯水タンク(=膀胱)の排水管(=尿道)がぎゅっと圧迫されるのだから当然、おしっこの出が悪くなる。自覚症状は排尿の勢いが悪くなる、下腹がムズムズするなどの残尿感、そして頻尿や尿失禁だ。ところが前立腺肥大を認めても、症状がないケースがあるからややこしい。逆にある年齢以上で自覚症状があれば、便宜的に前立腺肥大と診断名をつけられることも少なくない。
蓄尿症状の代表的な原因である過活動膀胱も症状ありきの診断名。1分1秒もガマンできない切迫した尿意と、それに伴う頻尿が特徴で、失禁の有無は問わない。多くは原因を特定できないが、前立腺肥大があると膀胱内の圧力が上昇し、膀胱の知覚過敏と過活動が誘発されるといわれている。