『がんになったら手に取るガイド』国立がんセンターが最新版発刊…“生活者の視点”を反映、DL版は無料Photo:PIXTA

 昨年12月12日、国立がん研究センターがん対策研究所から『国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド』が発刊された。

 2011年に初めて患者向けに発刊された『患者必携 がんになったら手にとるガイド』が13年の改訂を経て全面リニューアルされたもので、1~4章は医療的な面、後半の5~7章は診断後の生活に関する情報がまとめられている。がん経験者や家族、一般市民で構成されたパネルの意見を取り入れ、「患者」ではなく「一生活者」としての視点があちこちに反映されているのが特徴だ。

 たとえば丸々1章が割かれた副作用と起こりうる症状については、「見た目(脱毛や皮膚、爪のトラブル)」や「食事、水分のとり方」「排泄(下痢や便秘、頻尿)」「性生活」など、毎日の生活シーンに寄せた対処法が経験者の体験や工夫を交えて記載された。

 治療前に「普通にできていたこと」が副作用で妨げられる無力感は、時に治療への意欲をそぐ。しかし事前に副作用が出やすい時期や日々の対処法を知ることで自己効力感が戻り、精神的な負担も軽減されるだろう。

 これまで情報量が少なかった治療中~治療終了後(経過観察中)の社会生活に関する記載も充実した。

 特に今年4月から事業主の「努力義務」とされる「治療と仕事の両立支援」については、会社へ提出する資料の作成手順や参考サイト、病院内外の相談先なども紹介されている。このほか「高額療養費制度」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」、一時的な生活資金を借りる「生活福祉資金貸付制度」など社会福祉制度の利用法も記載された。

 21世紀に入り、がん医療は治療期間も生存年数も格段に延び、治療と仕事の両立やお金の算段は、一生活者としての自尊と家族を守る大切な要素になっている。あなたが当事者となった際、本書の前半は治療の意思決定に、後半はサバイブに役立つだろう。

 さて、本書は定価1210円で発売中だが、太っ腹なことに本文全192ページ分が無料でダウンロード(DL)できる。がんの疑いを指摘された場合はSNSに飛びつく前にまず、[国がん ガイド]で検索しよう。別冊付録の「わたしの療養手帳」もDLできます。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)