下振れリスクは減退したがなお残存
4月会合での利上げ可能性は低下

 最初に、公表文において最も注目されたリスクバランスは「世界経済と金融動向が引き続きリスクである」との文言を残しつつ、具体的な判断を示さず、その上で景気及び労働市場のさらなる回復と将来のインフレ目標達成という従来通りの見通しを維持した。これは、下振れリスクの存在を認めつつも、リスク量を勘案すれば、利上げプロセスの撤回をする必要はないというFedの判断を示しているだろう。

 実際、イエレンFRB議長は記者会見で「FOMCは見通しに対するリスクは減退したと考える*1」と述べ、リスク量の減退を明確に示唆している。ただし、同時に(当たり前だが)「引き続きリスクが存在すると見ている*2」とし、公表文に残したリスク警戒文言の重要性をあらためて強調した上で、「リスクがバランスしているかどうかに関する合議体としての判断はない*3」と素直に認めている。

 今回の(悪く言えば煮え切らない)リスクバランス認識について、筆者は追加利上げに際してFOMC内部でのさらなる擦り合わせが必要になることを示唆するものと考えており、次回4月会合での利上げの可能性を低下させるメッセージとして位置付ける。

 次に、FOMC参加者の金利見通しを表すDot plot等によると、2016年末のFF金利誘導目標の中央値は、2015年12月時点の1.4%(1.375%)から0.9%(0.875%)へ50bp引き下げられ、2016年中に25bp刻みで4回の利上げ想定から2回の利上げ想定へ下方修正された(図表1)。

 Dot plotにおける分布を見ると、0875%以下が10名(0.625%1名+0.875%9名)、1.125%以上が7名(1.125%3名+1.375%4名)とそれほど大きな差がある訳ではない。それはタカ派が多い2016年の投票権者に絞ればなおさらだろう。筆者は2016年について2回と3回の利上げが拮抗する程度と予想していたため、想定の範囲内である。

◆図表1:FOMC参加者の政策金利予想(2016年3月)

FOMC“慎重過ぎる姿勢”は追加利上げへの布石注:各ドットがFOMC参加者一人を示す。赤は中央値、緑は前回の中央値
出所:FRB、SMBC日興証券

*1:“the committee thinks that risks to the outlook have diminished”
*2:“we continue to see risks which we highlighted”
*3:“there is no collective judgment in this statement on whether the risks are balanced or not”