ツイッターをマーケティングツールなどに活用する企業が増えている。ツイッターとは、最大140字までの情報発信ができるミニブログ。多機能携帯電話からも利用でき、SNSのようにリアルタイムでつながることが可能だ。新商品、お買い得品、入荷情報などの情報発信のほか、リアルタイムのコミュニケーションを生かしてキャンペーンと連動させる企業もある。
ツイッターとの連動によるキャンペーンで話題になったのが、ファーストリテイリングの『UNIQLO LUCKY LINE』。「ユニクロ誕生感謝祭」(5月28日~30日)に先駆けて行われたもので、店舗で使えるクーポンチケットや抽選で当たるTシャツなどを求めて、WEB上に13万人を超す“バーチャル行列”が発生した。
別のアプローチから、ツイッターを使って、リアルタイムに消費者と店舗と商品情報をつなぐ試みも始まっている。良品計画から情報提供の協力を受け、東急ハンズが提供しているツイッター連動型サービス「コレカモネット」だ。
「欲しい商品」、「探したいもの」をツイッター(あるいはコレカモネットの専用サイト)から投稿すると、「コレカモさん」というインターネット上のキャラクターが「どんな商品があるのか、どこの店舗で手に入るのか」などを瞬時に回答してくれる。経済産業省による「平成21年度『ITとサービスの融合による新市場創出促進事業(e空間実証事業二次公募)』」として選ばれたもので、実験期間が終了したいまもサービスを提供中だ。実験期間中の投稿は、87%がツイッター経由のものだったという。
開発当初に考えられていたサービス名は「在庫コム」。そこからも明らかなように、商品在庫の検索機能がメーンだったが、「お客さまにとっての最終目的は、在庫の検索ではなく買物。コレカモネットでは、買物を楽しんでもらうことを重視した」と語るのは企画を担当した同社IT企画部長通販事業部長・長谷川秀樹氏。
具体的な商品名がわからなくても、商品の特徴から検索したり、「父の日にプレゼントを贈りたい」といった自然文での検索も可能だ。投稿内容と結果は、検索した本人以外でも常時、見ることができる。「青果店の前を通っていて『今日はいい新じゃがが入ったよ』と別のお客さんに話しているのを耳にして、『今晩のおかずは肉じゃが』と決め、新じゃがを買い求めることがあるように、他人の検索結果から買物を決める、という人も少なくないはず」(同)。
また、「お米が切れた」という投稿に対し「お米の栽培キットを勧める」といった“ジャンルずれレコメンデーション(お勧め)”も潜在なニーズの掘り起こしにつながると考えている。コレカモさんに“人間らしさ”を持たせたことも、開発に当たり重視した点だ。投稿がなくても、コレカモさんが一人でつぶやくし、眉毛の太さ、目の位置などに変化をつけ、表示される表情に動きをもたせている(コレカモネット上のみ)。
現在のところ、在庫情報は、東急ハンズ19店舗(ネット通販「ハンズネット」含む)、同社小型専門店9店舗、無印良品21店舗。新規の情報提供企業との提携も進みつつあるという。「コレカモネットが、どれだけ売上アップに貢献できるかは、ほとんど計算できない」(同)というが、新機能として、ハンズネット経由での買物が追加された。いっときの話題に終わるのか、買物を楽しむためのツールとして認知されるのか、コレカモさんの今後の働きぶりに注目したい。
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