ハウスでたわわに実るスカイベリー

「いちご乱世」を生き抜くべく、いちご研究所では、とちおとめに代わる品種の早期開発に着手した。

 じつは、とちおとめは2011年に品種登録期間の15年を経過し、栃木県外での生産も自由になった。一方、あまおうは、商標登録されており、栽培は福岡県内に限られている。

 揺るぎない、いちご王国のためにはなるだけ早く、新ブランドが必要だった。

 といっても、いちごの品種開発は大変な手間がかかる。いちごの新品種が生まれる確率は10万分の1。毎年交配実生を1万個体行っても、10年以上かかる。

 そもそも、とちおとめを品種登録出願した1994年から、県農業試験場ではすでに新品種の開発にあたっていたが、「とちおとめより大粒、収量性が高い、病気に強い」という重点目標を定め、研究員たちは目標の特性を兼ね備えた系統の交配に取り組み続けた。

スカイベリー。500円玉よりも大きく、美しすぎる円錐形

 かくして2011年、ついに目指した品種が完成。「栃木i27号」が誕生した。

「栃木i27号」は、果実は平均25グラム以上と極めて大きく、一般的ないちごの約1.6倍だ。しかも、25グラム以上の果実の発生割合が1株あたり約3分の2を占める。

 果形は円錐形、果色は明るい赤色で光沢があり、外観が優れている。

「大きくて、きれいな円錐形のものができる確率が本当に高いんです」(後藤さん)

 もちろん味はバツグン。酸味が少なく、上品な甘さ、ジューシーでまろやかな味わいを実現。

 さらに、とちおとめより、収量性、耐病性が高い。

 結果、かかった年月は17年。約900の組み合わせを交配し、のべ10万株以上の中から選抜したという、いちご王国のプライドをかけた研究者の血と汗と涙がにじんだ「スーパーいちご」だ。

 栃木i27号は、2011年に品種登録申請(2014年登録)を行うとともに、一般公募で商品名は「スカイベリー」と名付けられた。大きさ、美しさ、おいしさが大空に届くようにすばらしいという意味が込められた名前だ。

 かくして、「スカイベリー」の栽培に向けて、いちご王国の生産者たちが立ち上がった。

★取材ご協力
三ツ星いちご「スカイベリー」

※この続きはこちらからです。