三菱自の日産傘下入りで、浦和レッズはどうなるのか

 三菱自動車による燃費データ改ざん問題はスポーツ界にも影響を及ぼしている。

 まず同社が運営する社会人野球チーム、三菱自動車岡崎(愛知)と三菱自動車倉敷オーシャンズ(岡山)が、今月から始まる都市対抗野球の地区予選出場を辞退した。岡崎は都市対抗に9回出場していて準優勝1回、倉敷も出場7回、ベスト4が1回の強豪だが、会社の不祥事が明らかになった現在、「地元の応援を受けることができない」という理由から辞退を決定。練習は続けるというが、会社が今後どうなっていくか分らない不安を抱える一般の従業員同様、選手たちも今は野球どころではないだろう。

レッズとマリノスの「株主問題」
1社が2クラブの大株主にはなれない

 この問題を受けて、12日には日産自動車と三菱自動車が資本業務提携することが発表された。これによってJリーグで難問が生まれた。J1リーグでともに戦う強豪クラブ、浦和レッズと横浜Fマリノスの扱いを巡る問題である。

 レッズの親会社は三菱自(出資比率50.625%)、マリノスの親会社は日産(出資比率74.59%)。Jリーグの規約では試合の公正を期すため、クラブの経営に関与できる株式保有者が、他のクラブの株式を大量に保有することを禁じている。今回の提携は事実上、三菱自が日産の傘下に入るものであり、このまま(日産がレッズの親会社になる形態)では規約に抵触することになってしまうのだ。

 ただ、救いはレッズがJリーグで最も経営に成功しており、親会社頼みのクラブではないことだ。

 5月初旬のレッズの発表によれば、2015年の営業収入は60億8800万円。そのうち入場料収入が21億7400万円で、どちらもJリーグではダントツのトップである。ちなみにこの数年、レッズに次いで入場料収入が多いのはマリノスだが、10億円に届くかどうかといったところ(2015年のデータはまだ発表されていない)。レッズはマリノスの2倍以上の観客動員力があるのだ。