アルバイトのサービス残業事情は?

【中原】次に、昨今話題になっているサービス残業の問題です。正社員のサービス残業が発生するのはよく知られているところですが、アルバイトがサービス残業をしているという昨今の問題提起は驚きでした。そういう現状もあるんでしょうか?もし事実なら、法律違反ですし、しっかりと業界をあげて是正していかなくてはならない問題ですよね。

【A店長】うちはさせてないですね。

【B店長】うちに関してもないですね。それをしちゃうと一発アウトで、店長自身もよくて降格です。

【C店長】うちもです。アルバイトから本社にクレームが行ってしまうと、その場で降格対象になるルールになっています。
ただ、かつては、店長によっては「これを終えてから帰ってね」と言う人はいたかもしれません。聞いた話ですが、タイムカードを切ったあとでも「仕事が終わらないならやってから帰れ」と言っている店長もかつてはいたということです。
また、高校生は22時には上がらないといけないのに、仕事が終わらなかったのでタイムカードを切ったあとも仕事をさせていたという話も聞いたことがあります。私の店では「時間になったら帰りなさい」と言って絶対に22時には上がらせるようにしています。それでも「これが終わるまでやりますんで」って言ってくれる子もいますが、アルバイトには絶対にサービス残業はさせません。

【中原】たとえば忙しいときなどに、「君、休憩時間中かもしれないけど、ちょっとだけ手伝ってよ」なんてお願いすることもないですか?

【B店長】そういうときもありますが、そのときは、あとでしっかりと休憩をとってもらいます。ただ、休憩をあとでとらせてしまうと、そのときは結局人が足りなくなってしまうので、なるべくそうならないように調整するのが普通ですね。

10年間で有休取得は1日!
貴重すぎる店長の休日

【中原】有休や休日に関してはいかがでしょう?店長ともなると、なかなか取りづらいのでは?

【C店長】外食産業は、全体的に有給休暇の消化が遅れている傾向にあると思いますが、私も入社して6年間、一度も有休を取ったことがありません。休日に関しては、先月は4日だけです。
店を回すリーダー格の人が休んじゃうと、自分が出ないといけません。他からヘルプを借りたいんですが、他の店も人手不足ですからなかなかお願いしづらいんです。自分だけ休んじゃうとまわりの人に申し訳ない、という雰囲気になっているんで……。今は新入社員も入ってきているので、新入社員に頑張ってもらえるような体制を整えて、なるべく休みを確保するようにはしています。
ここ数年、ブラック企業の問題など労働環境が話題になっているので、会社からも「休みを取りなさい」と言われていますが、実際問題として私が休みすぎるとお店の数字にも響くので、なかなか休みづらいという板挟み状態になっています。

【中原】外食産業は、徹底して、有休消化の普及に努めなくてはなりませんね。これでは、さらにマネジメント人材の人手不足を招いてしまいます。