業界団体にもブラック経営者が
名を連ねる介護業界

中村 去年の介護報酬の減額には、本当に衝撃を受けました。ヒドイ混乱がある程度可視化されていた状況で打つ手じゃないですよね。経営者が搾取しているのではなく、労働基準法をなかなか守れない制度そのものがおかしいわけです。

藤田 介護保険料そのものが低いですし、それをさらに下げるなんて考えられないですね。だから、現状を作っている政府にどうしても介入せざるを得ない。現場レベルで個別には労働組合として争っても、経営者が本当に首を吊るという話になるし、そうさせているのは誰かと言えば、厚労省・財務省です。だからと言って、財源が足りないということを納得するわけにはいかない。税をちゃんと取りましょうよと。

中村 結局、お金が足りないという問題に行きつく。介護に関して優先順位があるとすれば、問題が山積みの中で、まず労働基準法を守って職員が壊れないようにすることです。彼らが普通に生きていける社会にしないと、なにも始まらない。

藤田 今、金持ち優遇の税制がありますが、全体の税率を引き上げなければならないと思います。これからは上下水道や道路などの土建的な生活インフラではなく、住宅とか教育、医療・介護などのソフトの部分に税を流したいですね。そのためにはやはり現場レベルの話が挙がってこないといけません。問題提起をし続けていかなければならないんです。

中村 介護は業界団体に危ないブラック経営者みたいなのが紛れているので、介護職員や市民に有益な政策提言は無理です。優秀なソーシャルワーカーが政策提言をしてくれればいいのに。

藤田 本来なら、現状のひどさに対してソーシャルワーカーも苦悩を抱えてほしい。福祉の支援が誰に必要なのかという、根源的な問いが社会福祉学会などでもされはじめました。日本の社会福祉は端的にいえば、終わっています。そこに関わる人間が、深く考えるより、早く効率的に仕事をこなすことが重要視されている。本来は感情労働ですが、今はベルトコンベアー式になっている。僕もマイナスをゼロに戻すぐらいしかできないので、贖罪の意識を持ちながら信頼できる人たちと共闘して政策を変えようとしています。しかし、本当に福祉関係者は目先の支援に埋没してばかりで信頼できません。

中村 僕は介護福祉で信頼できない人たちを散々眺めて、つくづくウンザリしましたが、社会福祉全体がそのような状態ということですか? そうなると、相当深刻な事態ですね。

藤田 ちゃんとした支援を受けられない質やメニューで、現状を知らない人が動いている。前時代的な法律しか機能していないし、それに基づいて福祉関係者はベルトコンベアー式で動いているからです。社会福祉制度自体が終わっています。このことに社会福祉関係者は大半が気づいていません。

中村 しかし、福祉関係者の良し悪しは、市民にはわからないですよ。言ったもの勝ちの世界で、美辞麗句とか、嘘を平気で吐ける人ほど注目されるみたいな状態だし。

藤田 社会福祉がまったく信用ならないので、日本では困ってはいけないのです。困る手前で、防貧政策を作らなければならない。例えば住宅手当を支給してホームレス化しないようにするべきだし、メンタルを患ってはいけない。いずれにしても、究極的に困ってはいけない。それが、十数年、この現場にかかわって、達した結論ですね。だから現在は防貧政策の策定や中間層崩壊を食い止めたいと、心からそう思います。

中村 薄々感じていたけど、そんなヒドイのですね。