若い時は必死に勉強してきた人も、経験と実績が積み上がるにつれて、「もういいだろう」と一丁上がり派の人が増えてくる。特に40代は、プレイヤーとマネジャー、仕事と家庭の「両立」をせざるを得ない多忙な年代。どんなやる気も、忙しさの前では徐々に減退してしまう。そんな中で上手に勉強時間を確保できている人には、どんなコツがあるのだろうか? シリーズ最新作『40代を後悔しない50のリスト【時間編】』から、一部を抜粋して紹介する。
仕事が忙しくて、勉強をする時間をなかなか確保できなかった、そもそも気持ちにそんな余裕がなかったと40代の頃を振り返る中高年は、かなりの数に上ります。40代になると成果としてのアウトプットが重視されるため、ややもすると新しい知見を身につけるための勉強や教養を身につけるための読書は軽視されがちです。
若い頃にたくさん勉強もしたし、読書もしてきたので「もういいだろう」という一丁上がり派という人たちも少なくありません。
しかも、これまでも述べてきたように自分の仕事だけでなく、部下、上司、顧客、家族に振り回されて、自分のための勉強時間や読書時間の優先順位は常に下位をさまよっているのです。
IT業界のH田さんの場合もそれが原因で40代になって受験した「システム監査技術者」の試験に落ちてしまいました。彼はシステム監査の部門でのキャリアが長く、多くの現場を経験し、豊富な知識と業務スキルをもってマネジャーとしての役割を果たしていたので、それまでの経験があれば大丈夫だろうと高をくくっていたのです。
新しい技術やスキルを学ぶことを止めてしまった先輩社員が、どんどんリストラされていくのを目の当たりにしていたために、H田さんはそこで強い危機感を覚えました。今、40代で勉強しないと、いずれ本当に使い物にならなくなってしまうかもしれないと。
そこで、忙しいというのを言い訳にせず、どうすれば勉強する時間を確保できるかを真剣に考え始めました。彼が見出した方法は、私が成功者たちから聞いた勉強法とも重なるところが多く、ポイントをあげれば、次の三点があります。
(1)勉強する「時間」と「場所」を固定する
(2)勉強時間を計画に組み込み「習慣」にする
(3)一度にすべてやろうとせず「一点突破」から始める
H田さんはこれまでの経験から、毎日必ず訪れるルーティンの時間に勉強を習慣として振り分けておかないと続かないことを知っていたといいます。家に帰ると、ついダラダラしてしまうので、平日は朝早く起きて、毎日会社の近くの喫茶店で一時間勉強するルーティンにすることと、週末の午前中は地元の図書館の自習室で勉強するというルールにしたのです。また、テキストを音読したものを録音し、通勤時と移動時間、つまりは電車に乗っている時間に耳から聴くというのも習慣にしました。
似たようなことをやっている人は多いかもしれませんが、勉強する「時間」と「場所」を固定化して、淡々と自動的にルーティンを繰り返すことを徹底したことが継続のコツでした。いつでもどこでも空いた時間でやるというのは確かに利点も多いのですが、予定が狂ったとたんに続かなくなりがちです。
でも、勉強する時間と場所を固定しておけば、気持ちの面でも勉強モードに切り替わりやすく、スケジュールに組み込んでおくことで、習慣にもなりやすいのです。通勤中や就寝前の読書が続くのと同じ原理です。