その上、安倍首相は年明け以降、世界経済の減速などから、消費増税延期の空気を醸成してきた。ノーベル経済学賞受賞者を呼んで「増税延期」の意見を聴き、伊勢志摩サミットで共同宣言に「政策をバランスよく進める」という、いかようにも解釈できる表現を盛り込ませるよう働きかけていた。増税延期に「国際的なお墨付き」を得ようとしていたのは見え見えの状況だった(第131回・p5)。

 岡田代表は、安倍首相が「増税延期」を決断するまで、待っていればよかったのだ。そして、首相が決断するや否や、「アベノミクス・新三本の矢」「一億層活躍」「社会保障の充実」「待機児童対策」などの安倍政権が打ち出した政策について、「財源はどうするのだ」「無責任ではないか」と猛批判を浴びせればよかったのだ。

 別に「増税の実施」を訴える必要はない。増税をするともしないとも言わなくていい。ただ、ひたすら「安倍政権は無責任」という一大キャンペーンを張れば、今回新たに有権者に加わった若者に対しても、「自民党は日本の将来に無責任」とアピールが可能だっただろう(第133回)。

 岡田代表が、安倍首相の増税延期の表明を待てなかったのは、共産党との共闘に引きずられたからであるのは間違いない。

「財源確保済みの政策から実施」と主張していた
岡田代表が「赤字国債で政策実現」を訴える愚

 参院選で、自民党と民進党は、社会保障の充実や待機児童対策などについて、ほぼ同じような政策を並べた。だが、その財源については、両党の主張は全く異なっていた。あるTV番組での討論を観ると、稲田朋美自民党政調会長が「財源を探し、見つかったものから実施する」としたのに対し、長妻昭民進党代表代行が「まず政策を実施。財源は赤字国債を発行すれば大丈夫」と主張した。正直、稲田政調会長のほうが、なんとかやりくりしようという誠実さがあった。TVを観たサイレントマジョリティは同様に感じたのではないだろうか。

 実は岡田代表は、かつて2009年の民主党代表選に出馬した際、「マニフェストの政策は財源を確保したものから実施していくべきだ」と主張していた。それは、当時党の主流派の「政権を獲れば財源はなんとでもなる」という主張に真っ向から異を唱えたものだった。

 これが、岡田代表の元々の政治的信条のはずだが、今は共産党との共闘を優先し、忘れたふりをしているということだろうか。しかし、そんな不誠実さは、国民に完全に見透かされたしまっているのが、参院選の惨敗なのである。

 参院選後の東京都知事選では、民進党が誰を候補者として推薦するかが、二転三転した。当初、長島昭久元防衛副大臣の擁立が検討されたが、あっさり断念した。その後、ある市民団体が推しているという俳優の石田純一氏、元経済産業省官僚の古賀茂明氏が浮上しては消え、最後は反権力のジャーナリスト・鳥越俊太郎氏を野党4党の共闘で推薦することに決まった。これも共産党の強い影響が感じられる。

 これでは今後民進党では、共産党の影響によって、前原誠司氏や細野豪志氏ら中道右派的な考えを持つ政治家が、リーダーに選ばれることはないのではと懸念する。それは、サイレントマジョリティに完全に愛想をつかされる「万年野党への道」だと、強く警告しておきたい。