ロイヤルティをしっかりと徴収するためには、半導体メーカーの出荷量を把握することが重要な要素となる。興味深いことにARMは半導体メーカーからの自己申告制を採用しており、「性善説のビジネスをしている」(内海弦・ARM日本法人社長)という。

 ARM日本法人のある神奈川県・新横浜のオフィスには、ライセンス契約を結んだ国内の半導体メーカーから、出荷量を報告するレポートが四半期ごとに届く。ARMは世界の半導体メーカーの動向を逐一知る立場にあるのだ。

 報告された出荷量が適正かどうかは、最終製品の市場調査などでチェックしているが、「重要なことはパートナーの信頼だ。トラブルはなく、われわれのモデルはうまく機能している」とサイモン・シガース・ARM CEOは語る。

豊富なエコシステムと顧客からの要求が
ARM採用を後押し

 ただ、見逃せないのはファウンドリーと呼ばれる半導体製造に特化した受託製造企業の存在である。半導体の設計図から実際の製造へ落とし込む生産技術の分野で、台湾TSMCなどの大手ファウンドリーとARMとの関係は深い。半導体製造現場と最終製品の二重チェックがあるからこそ、機能しているモデルともいえる。

 とはいえ、著作権などの概念が希薄な中国市場ではARMもまだまだ手を焼いているようで、現状でライセンス契約を結んでいるのは展訊通信(スプレッドトラム)など大手が中心。コマーシャル&グローバルデベロップメント担当EVPのアントニオ・ヴィアナ氏は「成熟した企業としかビジネスができていない」と語り、中国の新興メーカーとのビジネス拡大を課題として挙げる。

 それにしても、メーカーにとって出荷量は最重要機密。そんな生命線ともいえる情報を渡してまで、半導体メーカーはなぜARMを採用するのか。