誤解のないように書き添えると、子どもたちの間でも、「ガリガリ君」は相変わらず人気だ。しかし、胃袋の数で言えばやはり、35年前に子どもだった世代が圧倒的になる。ちなみに、2010年の猛暑で品薄騒動になった際に買ったのは50代以上が多かったという。

 ならば女性はどうだろう。萩原さんによれば、「一番よく食べるアイスは?」と質問すると、1位が「ハーゲンダッツ」で、2位が「ガリガリ君」になるそう。「女性は見栄っ張りだから」とは萩原さんの分析。「ユニクロはあくまでインナー使いで」という感覚と、どこか通じているのかもしれない。

 ガリガリ君はそのイラストやパッケージも含めて2000年にブランドリニューアルしているのだが、それに先駆けてアンケート調査した際にも、若い女性たちからは「汗くさい」「歯ぐきが汚く見える」「田舎くさい」など散々な評価が相次いだ。今では老若男女に人気の「ガリガリ君」も、不遇の時代があったのだ。

ガリガリ君はコンビニの発展と共に急拡大していった Photo by T.U.

「予算のない時期は企業さんや売り場とのコラボが中心でした。芸人の世界と一緒なんで、知名度がないとそれはそれで大変だったりもするわけですが」

 じつは、「ガリガリ君」を発売開始した1981年は、コンビニエンスチェーン「ファミリーマート」が設立された年(それ以前、ファミリーマートは西友ストアの1事業部だった)である。当時のアイスクリーム市場の売れ行きは、まだ、7、8割を駄菓子屋さんのような個人商店が握っていた。

「その頃、大手のメーカーさんは店先にショーケースを置いて、アイスを販売してもらっていました。パワーゲームの時代ですから、我々のような中小企業はそこになかなか参入できず、どうしても太刀打ちできなかったんです」

 ところが、ファミリーマートのようなコンビニエンスストアが続々と誕生し、状況は一変する。

「現会長が社長時代にアメリカ視察に行きまして、これならいけるぞということで、コンビニルートを開拓した。コンビニの場合はPOSデータでいつ、何が、どれだけ売れたのか、を正確に把握できますから、それに合わせたマーケティング戦略も打ちやすかったんです。

 コンビニ向けの商品を次々と開発し、コンビニエンスストアさんが大きくなると同時に、うちも大きくなっていきました。あの時、コンビニシフトしていなかったら、今のガリガリ君人気はなかったと思います」